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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

前受家賃は債務控除の対象となるか? (09.7/1更新)
Q  被相続人は不動産賃貸業を営んでおり、生前の不動産所得の申告では、賃貸料収入を貸付期間に対応して収入金額を計算していました。しかし、賃借人との間の契約では、賃貸料は前月の20日までに翌月分を支払うこととしていたため、相続開始時である6月25日には既に7月分の賃貸料を収受しています。この7月分の賃貸料は、相続税の計算においては、債務控除の対象となりますか。

A

 相続税の課税価格の計算において債務として控除できるものは、相続開始時において現に存する被相続人の債務とされています。ご質問の7月分の賃貸料は、7月以前に収受されているところから、一見すると債務控除の対象となるようにも考えられます。しかし、不動産の賃借人との間の賃貸借契約は、相続人に引き継がれ、相続人はこの契約に基づいて、賃借人に不動産を賃貸する義務と賃借人から家賃を収受する権利を承継しているものということができます。
 つまり、相続人は7月分の賃貸料を賃借人に返却するという義務は負っていませんから、相続開始時において現に存している確定した債務には当たりません。
 したがって、所得税の申告をどのように行っていたかに係わりなく、相続税では、7月分の賃貸料を債務控除の対象とすることはできません。
 相続税の評価においては、賃貸不動産については、処分が困難であること等を理由として、評価額を減額しており、さらに前受金を債務控除することは、いわば二重引きにもなり、この点からも債務控除することには理由がないといえます。
 なお、相続開始時にすでに収受している前受家賃は、相続財産に含まれるのは当然ですが、相続開始時に支払期限が到来していて未収となっている前受家賃も相続財産に含まれることになります。
 
                         (税理士懇話会・資産税研究会事例より)


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