



廃除による相続税基礎控除のカサ上げで波紋 |
(12.11/2更新) |
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養子縁組を使って相続税の基礎控除額を引き上げようとする行為についての規制措置が講じられてから相当期間が経過したが、ここにきて相続廃除を使った意図的な相続税基礎控除の引上げがなされているのではないかとの観測が出てきており、今後問題が表面化し規制策の導入等に発展する可能性もある。
相続廃除は、被相続人に虐待等の行為を行った相続人を法定相続人から除外する民法上の制度であり、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てて行う方法と、被相続人が遺言によって行う方法とがある。
廃除された相続人は相続権を失うが、その者に子がいれば代襲が認められる。基礎控除の引上げ策はこの代襲を利用するもので、廃除された相続人に子が複数いれば、それぞれに代襲相続人としての基礎控除が認められるため、結果的に基礎控除額が引き上げられることになる。
たとえば、相続人が配偶者と子二人の場合、基礎控除額は8,000万円であるが、子のうち一人を廃除し、廃除された子に子が二人いれば基礎控除額は9,000万円となる。
生前に家庭裁判所に申し立てて行う廃除は、家庭裁判所の審査が厳格に行われるため、基礎控除の引上げを目的とした偽装的な廃除は困難といわれるが、遺言による廃除は、相続人が口裏を合わせることによって比較的簡単に行えるとの指摘もある。
現在のところ、廃除を使った基礎控除引上げ策が問題視された事例は明らかにされていないが、今後の展開次第では、問題が表面化する可能性もある。
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