「超」早期離職を防止しつつ、職場を多様な人財の活躍の場とする
【中小企業のための経営情報|マネジメント倶楽部デジタル5月号】
2025年5月14日
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このコラムでは、中小企業の経営に役立つヒントや、おさえておきたい今話題の情報などを、中小企業診断士の立場から、わかりやすく解説します。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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厚生労働省調査(*1)によると、新卒新入社員の早期離職率(3年以内離職)は、中卒・高卒・大卒の順に、約5割・4割・3.5割となっています。かつての「7・5・3」と比較すると大卒以外は改善が見られますが、採用力の弱い中小企業では依然として頭の痛い問題といえます。
●「超」早期の離職防止が大きな課題に
少し古いデータですが、2020年のリクルートワークス研究所の調査(*2)によると、就職者全体に対する半年未満離職者の割合が、高卒で11.8%、大卒で7.5%となっています。入社後3年以内どころか、半年以内という「超」早期離職に新入社員が会社を離れています。
マイナビ社調べ(*3)では、「超」早期離職理由のトップ5は、①職場の雰囲気、②人間関係、③仕事内容、④やりがい、⑤理不尽な指導、となっています。なお、給与は第6位、仕事のきつさは第8位です。入社直後の新入社員の多くは、お金や仕事の大変さといったハード面よりも、職場風土や人間関係などのソフト面を重視していることがわかります。
「超」早期離職とソフト面重視の傾向は、新卒以外の新入社員にもあてはまります。新入社員のタイプ別に対策を見ていきましょう。
●デジタル世代はOJT中心に根気強く
常にスマホと一緒、職場メンバーとコミュニケーションをとろうとせず、社会人としての基本動作も気にしないのが、デジタルネイティブと言われる若い世代の傾向です。「タイパ(タイムパフォーマンス)=時間効率性」を気にする一方で、「自己効能感=役に立っているという感覚」を重視する彼らには、配属直後の早期から、OJT(仕事を通じた教育指導)を組織ぐるみで実施し、根気強く(=キレずに)職場の雰囲気に慣れさせて、やりがいを育んでいきましょう。
●経験者には敬意を払いつつ改善点を毅然と
他社などでの実績を買って採用したキャリア(中途)入社組は、前職での経験を活かした素晴らしい貢献をしてくれる一方で、自社のやり方を無視したり、ともすれば失敗を周囲のせいにしたりすることもあります。
プライドを尊重しながら、従来の職場からは出てこないような斬新な提案や行動を促し賞賛することが大切です。併せて、職場の仲間への配慮や職場風土を尊重しないとこの会社では活躍できないということを、毅然と指摘しましょう。
●外国人社員は、まずはお互いの文化尊重から
外国人社員に関わるトラブルや悩みごとは、文化や習慣・常識の違いからくるものが大半です。彼らを「日本人の代わり」や「話が通じない面倒な人」と見ることなく、向き合い受け入れましょう。慣れてきた頃合を見計らって、本人たちから文化や習慣を紹介してもらう場を設けると、知識習得だけでなく尊重の姿勢を示すことにもなり、一挙両得です。なお、厚生労働省が外国人社員の受入れ・定着マニュアル(*4)を公開しています。モデル事業から作成された実践的内容で参考になります。
●「若者・バカ者・よそ者」の力で活性化を
変革は「若者・バカ者・よそ者が起こす」と言われます。新入社員の多くは「若者」や「よそ者」であり、社内の常識から見たら「バカ者」かもしれません。
彼らを労働力の補充ではなく職場に化学反応を起こしてくれる触媒として見ましょう。それが、彼らに居場所と活躍の場を与え、定着と職場活性化をもたらしてくれます。
(*1) 「 新規学卒就職者の離職状況」令和6年10月25日付
(*2)「全国就業実態パネル調査2020」
(*3) 「正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版」
(*4)「 事業者向け受入れ・定着マニュアル」
※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
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