資金繰り改善 4つのパターン
【中小企業のための経営情報|マネジメント倶楽部デジタル11月号】

2025年11月12日
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このコラムでは、中小企業の経営に役立つヒントや、おさえておきたい今話題の情報などを、中小企業診断士の立場から、わかりやすく解説します。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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ゼロゼロ融資の返済や人件費の上昇で資金繰りに悩む企業が増えています。黒字でも現金が不足すれば企業は存続できません。今回は、資金繰り改善の4つのパターンをご紹介します。
●まずは「見える化」から
資金繰り改善の第一歩は資金繰りの見える化であり、そのためのツールが「資金繰り表」です。資金繰り表は、現在の現預金+将来の収入-将来の支出=将来の現預金というシンプルな仕組みです。数か月先まで見通すことで、資金不足が起きる前に今後の対応策を検討することができます。
また、資金調達の王道は融資ですが、金融機関は貸出判断時に資金繰り表の有無を重視しています。数字の整合性や見込みの根拠を確認し、精度の高い表は経営管理能力の証拠となります。
近年は、クラウド会計やAIによる資金繰り予測ツールを活用し、過去の入出金データや季節変動から将来残高を自動計算する企業も増えています。
●資金繰り改善 4つのパターン
資金繰りは「収入」と「支出」に、「量」と「タイミング」を掛け合わせることで、4つのパターンに整理できます。

パターン① 収入を多くする
売上向上のほか、融資・補助金・遊休資産の売却などで現金を増やします。
製造業A社は、新分野展開の設備投資に「ものづくり補助金」を活用し、自己負担分は政府系金融機関の低利融資で調達。補助金で投資負担を軽減し、融資で必要資金を確保しました。
パターン② 収入を早くする
売掛金の早期回収や前受金方式の導入、長期在庫の現金化などがあります。
喫茶店B社は、常連客向けにコーヒー10杯分の回数券を事前に販売。販売時点で現金が入り、仕入の資金を確保しました。回数券でリピート率も向上しました。
パターン③ 支出を少なくする
相見積もりや共同仕入でコストを抑えます。仕入や外注費は、数量や取引頻度を明確にして再交渉すれば、単価引下げや納入条件の改善が期待できます。
飲食業C社は、複数店舗の食材仕入先を一本化し、共同発注によって単価を引き下げ。年間数十万円のコスト削減を実現しました。
パターン④ 支出(支払)を遅くする
法人カード、設備リース、借入の一本化などにより支払を遅くします。
製造業D社は、機械設備を購入せず5年契約のリースで導入。初期費用を抑え、月々の支払を平準化しました。
●早期対応と継続的な改善
資金繰り改善は計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)が重要です。
資金繰り表を作り、数か月先までの資金の状況を見極め、対応策を立てる。
売上回収の前倒しや支払条件の交渉など具体策を実行する。
実際の入出金と資金繰り表を突き合わせ、計画との乖離や原因を検証する。
施策を見直し、資金繰りの精度を高める。資金不足が想定される場合は、早めに融資申込等を行う。
早期対応こそが、資金繰り改善に向けて最も重要です。資金繰りに不安を感じたら、まずは資金繰り表を作成し、取引金融機関や専門家に相談してください。
※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
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