代償分割により交付する代償財産(代償金)の額

2026年1月27日

 

 

 

 

代償分割により交付する代償財産(代償金)の額


[質問]

このたび、母が死亡しました(父は既に他界)。

相続人は子供3人です。

長男は母と同居していましたので、自宅の土地と建物(相続税評価額5,000万円)は長男が相続します。

母は、他に財産はないため、次男と長女には代償金としてそれぞれ500万円支払うことで妹弟は納得しました。

このように法定相続割合と違う代償金を支払うことに問題はないのでしょうか。

 

[回答]

照会の事実関係を前提とする限り、遺言はないと考えられますので、遺言がないことを前提に回答いたします。

照会の遺産分割は代償分割と考えられますので、共同相続人(子3人)の遺産分割協議の結果、代償財産(代償金)の額が法定相続分と異なる割合になったとしても問題はありません。

 

【説明】

1 代償分割

民法907条(遺産の分割の協議又は審判)は、遺言で遺産の分割が禁止(民法908①)されていない場合の遺産分割の実行について「いつでも、その(筆者注:共同相続人の)協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。」と規定しています。また、民法908条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)は、被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託することができ、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることができると規定しています(民法908①)。

遺産分割の方法には、現物分割(民法258②:遺産を現物のまま分割する方法で、分割の原則的方法)、代償分割(家事事件手続法195)、換価分割(家事事件手続法194、家事事件手続規則103)の方法があります。

そして、代償分割とは、共同相続人等のうち1人又は数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した者に他の共同相続人等に対して債務を負担させる方法で相続財産の分割を行う方法をいい、この代償分割の方法は、家庭裁判所における審判による分割の場合だけでなく、共同相続人等の協議による分割又は家庭裁判所における調停による分割の場合にも採用することは何ら差し支えないものと解されています[1]

 

2 本件の場合

上記1のとおり、代償分割も遺産分割の方法の一つですので、遺言で遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割が禁止(民法908)されていない限り、代償分割を行うことができます。

照会の事実関係を前提とする限り、遺言はないと考えられますので、遺言がないことを前提に回答いたしますと、照会の遺産分割は代償分割と考えられます。そうすると、共同相続人(子3人)の協議で代償財産(代償金)を決めることができますので、その協議の結果、代償財産(代償金)の額が法定相続分と異なる割合になったとしても、現物分割の場合に法定相続分と異なる割合で遺産分割が行われるのと同様、問題はありません。

 

 

[1]甲斐裕也編『令和6年版 相続税法基本通達逐条解説』236頁(大蔵財務協会、2024)。

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

 

 

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