第233回 完全子法人等からの配当等に係る源泉徴収の見直し

2022年4月28日

 

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■令和4年度税制改正の改正趣旨および改正内容

従来、完全子法人株式等に係る配当等については、益金不算入であるにもかかわらず、所得税の源泉徴収が必要であるとされていました。親法人が持株会社のようなケースでは、子法人からの受取配当等が主な収入になりますので、確定申告時に源泉徴収された所得税について税額控除を適用すると、控除しきれない額が生じ、その額が還付されることになります。

この点について、会計検査院から、源泉徴収を行うことによる一時的な資金負担や事務負担が生じ、また、税務署側においても還付金および還付加算金に係る事務が生じることになるため、源泉所得税が法人税の前払的性質を持つことや所得税を効率的かつ確実に徴収するなどの源泉徴収制度の趣旨に必ずしも沿ったものになっていないとの指摘がされておりました。

令和4年度税制改正により、内国法人が支払を受ける配当等について、一定の要件を満たす次に掲げるものについては、所得税を課さないものとし、源泉徴収を行う必要がないとされました(所法177条、所令301条2項)。

➀ 完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に係る配当等
➁ 配当等の基準日において、発行済株式等(自己株式を除く)の3分の1超を直接保有する内国法人からの配当等

 

■発行済株式等の3分の1超を直接保有する内国法人からの配当等について

先の①の「完全子法人株式等」は、受取配当等の益金不算入制度における完全子法人株式等と同義です。すなわち、配当等の額の計算期間の初日から計算期間の末日まで継続して法人とその支払を受ける配当等の額を支払う他の内国法人との間に完全支配関係があった場合の当該他の内国法人の株式等をいいます。

また、②の「発行済株式等(自己株式を除く)の3分の1超を直接保有する内国法人からの配当等」については、一見すると受取配当等の益金不算入制度における関連法人株式等の定義と類似していますが、両者はイコールではありません。

関連法人株式等とは、内国法人が他の内国法人の発行済株式等(自己株式を除く)の3分の1超の株式等を、配当等の額の計算期間を通じて有している場合の当該他の内国法人の株式等で完全子法人株式等に該当しないものをいいます。今回の改正により所得税の源泉徴収が不要となるのは、配当等の基準日において発行済株式等の3分の1超を保有している場合におけるその株式等に係る配当等です。このようにあえて差異を設けたのは、実務上の簡便性を考慮したものと考えられます(配当等を受ける法人においては関連法人株式等であるかどうかの判定が必要になりますが、配当等を支払う法人においては必要ありません)。配当等の計算期間を通じて3分の1超を保有しているのか、配当等の基準日に3分の1超を保有しているのかの違いに留意しなければなりません。

 

■適用時期

改正後の取扱いは、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されます。

 

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