第239回 みなし配当に係る支払調書(支払通知書)の提出義務等
2022年11月1日
このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー
■税務上の「みなし配当事由」
会社法上の配当でなくても、税務上、配当とみなす取扱いが置かれています。「みなし配当」といいますが、代表的なみなし配当事由として、①自己株式の取得、②資本剰余金の額の減少に伴う剰余金の配当、③会社解散・清算に伴う残余財産の分配、④持分会社における社員に対する出資の払戻し、退社した社員に対する持分の払戻しなどが挙げられます。
税務上、みなし配当が発生する場合には、所轄税務署への支払調書の提出義務、払い戻した株主(または社員)に対する支払通知書の交付義務が課せられる点に留意する必要があります。現実の配当と異なり、税務上配当とみなしているに過ぎませんので、これらの義務の履行を失念するケースがみられます。実務上十分な注意が必要です。
■住所・氏名の告知義務
みなし配当が発生する場合、株主は、対価の支払を受ける時までに、氏名(法人の場合は名称)および住所ならびに個人番号または法人番号を金銭の交付者に告知しなければなりません。併せて、住民票の写し(法人の場合は登記事項証明書)等を交付者に提示する必要があります。
金銭の交付者は、告知された内容と住民票等の内容が同一であることを確認し、確認に係る帳簿を作成する必要があります(所法224条の3、所令342条から345条)。
以下、支払調書については、みなし配当課税がなしの場合とありの場合とで、提出する書類や提出時期が異なる点に留意する必要があります。
■支払調書の作成(みなし配当課税なしの場合)
居住者または恒久的施設を有する非居住者に対し、みなし配当事由により金銭の交付を行う法人は、対価の支払が確定した日の属する年の翌年1月31日までに、「交付金銭等の支払調書」およびその合計表を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります(所法225条1項10号、所規90条の3第1項)。
■支払調書の作成(みなし配当課税ありの場合)
みなし配当事由により金銭の交付を行う法人は、対価の支払が確定した日から1ヵ月以内に、「配当等とみなす金額に関する支払調書(支払通知書)」とその合計表を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります(所法225条1項2号、所規83条)。併せて、金銭の交付の相手先である株主に対しても、「配当等とみなす金額に関する支払調書(支払通知書)」を交付しなければならない点に留意する必要があります(所法225条2項2号、所規92条1項)。
なお、株主に対する支払の対価の額が15,000円以下である場合には、所轄税務署長への提出は不要です(所規83条2項3号)。
このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー