第254回 外形標準課税の対象法人の見直し その2
~令和6年度税制改正による100%子法人等への対応措置の創設~

2024年2月1日

 

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本コラムの前回では、令和6年度税制改正大綱に盛り込まれた外形標準課税の対象法人の見直しのうちの「減資への対応措置」について取り上げました。今回は、対象法人の見直しとしてもう1つ措置される予定である「100%子法人等への対応措置」について取り上げます。

以下の解説は、あくまでも税制改正大綱の段階の内容に基づいています。今後の法律の成立段階の内容を再確認してください。

 

■改正の内容

資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人(当該法人が非課税または所得割のみで課税される法人等である場合を除きます)または相互会社・外国相互会社(以下、それらを合わせて「特定法人」といいます)の100%子法人等のうち、当該事業年度末日の資本金が1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものは、外形標準課税の対象となるとされます。

なお、100%子法人等とは、特定法人との間に当該特定法人による完全支配関係がある法人および100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を保有されている法人をいいます。

 

■改正の趣旨

外形標準課税の対象法人であるかどうかは、現行の取扱いでは単体ベースで判定する取扱いになっています。しかし、一定の規模の法人との間に完全支配関係がある100%子法人等は、その規模の大きい法人と一体であると考えられることから、必ずしも単体ベースのみで判定する取扱いは実態に合っていないとも考えられます。今回の改正は、規模の大きい法人と一体であると考えられる法人について、特別な取扱いを課すものです。

そこで、一定の規模の法人(特定法人)と一体と考えられる100%子法人の資本金が1億円以下であっても、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものは、外形標準課税の対象とするものとされるのが本改正の趣旨です。

 

■適用時期

本改正も、前回説明した減資への対応措置と同様に、令和7年4月1日に施行され、同日以後に開始する事業年度から適用するとされています。

 

■経過措置の取扱い(激変緩和措置)

100%子法人等への対応に係る改正により、外形標準課税の対象に新たになったことにより、法人事業税額が従来の課税方式で計算した税額を超える場合(改正により増税となる場合)には、超えることとなる額のうち、次に定める額を、当該事業年度に係る法人事業税額から控除する措置が講じられます。激変緩和のための措置であると考えられます。

 

事業年度 法人事業税額から控除する金額
令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度 超える金額に3分の2の割合を乗じた額
令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度 超える金額に3分の1の割合を乗じた額

 

 

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