第255回 交際費等に係る改正と留意点
~令和6年度税制改正により、1人当たり10,000円基準に見直し~

2024年3月1日

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

 

 

■交際費等に係る令和6年度税制改正による改正内容

損金算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準が、1人当たり5,000円以下から10,000円以下に引き上げられます。本改正は、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用されます。

また、①接待飲食費に係る50%損金算入の特例および②年800万円まで全額損金算入できる中小法人に係る特例の適用期限が3年間延長されます。

 

■交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る留意点

これまで1人当たり5,000円基準が適用されてきましたが、次の3つの留意点がありました。1人当たり10,000円基準に見直されても、これらの留意点は変わりません。

1.社外の事業関係者の接待のための飲食費であること

本取扱いは、得意先、仕入先などの社外の事業関係者に対する接待交際の飲食費が対象であり、社内の役員・従業員等の接待のための飲食費は含まれません。

2.1人当たり10,000円以下(現行:1人当たり5,000円以下)の飲食費であること

飲食費として支出した金額を参加人数で割って計算した金額が、10,000円以下(現行:5,000円以下)である場合に適用されます。1人当たりの金額が当該基準額を超えている場合には、その全額が交際費等として取り扱われます。

3.一定の事項を記載した書類を保存しておく必要がある

一定の事項を記載した書類の保存が要件になります。記載しておかなければならない事項は、次のとおりです。

  • その飲食等の年月日
  • 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
  • 飲食等に参加した者の人数
  • その費用の金額ならびに飲食店等の名称および所在地
  • その他参考となるべき事項

 

 

■免税事業者等に飲食費を支出した場合

適格請求書発行事業者以外の者に対する支払であるときは、支払対価の額に110分の10を乗じて得た額の20%相当額を支払対価の額に含めることになるため、令和5年10月1日以後の3年間については、5,000円基準を前提とすると税込価額で5,392円以下であるかどうかを判定する必要がありましたが、10,000円基準のもとでは(令和6年4月1日以後に支出したものから)10,784円以下であるかどうかを判定することになります。

 

1人当たり10,000円(または5,000円)基準の下でのインボイス経過措置との関係
税抜価額(注)
支払対価×10/110
②のうち対価の額に含めるべき額
①+③ 支払対価
令和 5.10.1~
令和 6.3.31
4,902 490 98
(②×20%)
5,000 5,392
令和 6.4.1~
令和 8.9.30
9,804 980 196
(②×20%)
10,000 10,784
令和 8.10.1~
令和 11.9.30
9,524 952 476
(②×50%)
10,000 10,476
令和 11.10.1~ 9,092 908 908
(②×100%)
10,000 10,000
(注)税抜価額と表記していますが、正確には支払対価の額から②の数値を控除した額です。

 

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

新着プレスリリース

プレスリリース一覧へ

注目タグ