第262回 賃上げ促進税制における「マルチステークホルダー公表要件」の改正

2024年10月1日

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

 

 

令和6年度税制改正による改正内容

令和6年度税制改正において、賃上げ促進税制における「マルチステークホルダー公表要件」の一部改正が行われました。

第1に、マルチステークホルダー方針の公表およびその旨の届出が要件となる事業者の対象が拡大しました。すなわち、適用対象に、常時使用する従業員の数が2,000人超である事業者が追加されました。常時使用する従業員の数が2,000人以下の事業者を対象とする中堅企業向けの類型が追加されたことに伴い、2,000人超の事業者にもこの要件を課すものとされました。

第2に、インボイス制度の導入を踏まえて、取引先(消費税の免税事業者を含む)への配慮(「取引先との適切な関係の構築の方針」)を記載すべきことが明確化されました。消費税の免税事業者への配慮も含めた方針の記載が必要になります。

第3に、マルチステークホルダー方針のホームページへの公表は、適用事業年度終了の日までに行うものとされました。マルチステークホルダー方針の公表時期については、従来明確な規定がありませんでしたが、その点が明確化されました。したがって、マルチステークホルダー方針公表に係る要件を充足するには、事業年度終了の日までにマルチステークホルダー方針を公表した上で、同方針について事業年度終了の日の翌日から45日以内に経済産業大臣に届出を行い、確定申告書に届出の受理通知書の写しを添付することが必要となります。

 

■新様式(様式第一)の公表

マルチステークホルダー方針の様式(様式第一)が変更となりました。インボイス制度の導入に伴い、消費税の免税事業者との取引関係に係る記載が、取引先への配慮の中でも特に配慮すべき事項として様式に盛り込まれたものです。

なお、改正後の様式は、経済産業省のホームページ上で公表されています。

 

■再度の公表が必要になる

令和6年4月1日前に開始する適用事業年度についてマルチステークホルダー方針をすでに公表している事業者であっても、令和6年4月1日以後に開始する事業年度について賃上げ促進税制の適用を受ける場合には、新様式を用いてマルチステークホルダー方針を公表し直す必要がある点に留意する必要があります。それは、消費税の免税事業者との取引関係に係る記載が新たに求められることとなったからです。

なお、グループ通算制度を適用している場合であっても、個別の法人で判定の上、個別の法人で公表および届出に係る手続を実施する必要があります。

 

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

新着プレスリリース

プレスリリース一覧へ

注目タグ