外国税額控除方式と国外所得免除方式|税務通信 READER'S CLUB

2022年5月10日

 
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関連記事:No.3697(令和4年3月28日号) 13頁

税務の動向 証する書類のない外国税額は事業税で損金算入不可
Q1

 国際的な二重課税を排除するために、「外国税額控除方式」と「損金算入方式」が設けられているのでしょうか?両制度はどのような違いがあるのでしょうか?また、租税条約との位置づけはどう考えればよいでしょうか?

A1

 国際的な二重課税を排除する代表的な方法は、「外国税額控除方式」と「国外所得免除方式」であり、「損金算入方式」は、外国税額控除との選択適用として認められている方法です。以下、それぞれの特徴や租税条約との関係についてみていきます。

日本の税制では、内国法人は世界中のどこで所得を稼いでも、その所得の全てについて日本で課税がされます。
一方で、外国企業に対してであっても、現地で稼いだ所得に対しては、当該現地国が課税することが一般的です。この場合、日本法人が国外で所得を稼いだ場合には、同一の所得に対して日本国と現地国から二重の課税を受けることがあり得ます。これが国際的な二重課税が生じる典型例です。
このような国際的な二重課税を生じさせない若しくは緩和するため、各国間で租税に関する条約を締結しています。この租税条約では、例えば、現地国での課税を軽減・免除する規定が設けられ、国際的な二重課税を緩和、排除する仕組みが採用されています。
しかし、このような租税条約による調整をしても、なお二重課税部分が残ることがあります。この残された二重課税を排除するための仕組みの代表例が、「外国税額控除方式」と「国外所得免除方式」です。

「外国税額控除方式」は、国外で納付した若しくは源泉徴収された外国法人税を、一定の要件のもと、日本の法人税等の納税額から差し引く制度です。その結果、内国法人のトータルの税負担は、日本の実効税率に収斂するという特徴を持ちます。
ただ、この「外国税額控除方式」には、上記の「税額控除方式」の計算のほか、もう1つ選択肢があります。それが、外国法人税額を損金算入する方法である「損金算入方式」です。つまり、外国法人税を法人税等から差し引くのではなく、損金として、税率を掛ける前の課税所得から差し引くのです。
両者を比較すると、損金算入方式では外国法人税の金額を所得からマイナスしますが、税額控除方式は同額を法人税等額からマイナスするため、基本的には税額控除方式が有利になります。

一方で、「国外所得免除方式」は、国外で獲得した所得に対して日本で課税をしない制度です。典型例は、外国子会社配当益金不算入制度です。この制度は、外国子会社からの配当を原則として95%益金不算入とするもので、日本ではほとんど課税が生じません。つまり、配当の原資となる外国子会社の所得は、現地国で課税されているのだから、課税後の配当金に対しては日本で課税をしないという仕組みです。

言い換えると、「外国税額控除方式」というのは、二重課税が発生することを許容し、その後に税額控除という形でそれを解消させる仕組みであり、これに対して、「国外所得免除方式」は、日本側で課税を生じさせないことにより、そもそも二重課税を発生させないようにする仕組みと言えます。

 

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