個人住民税の前年課税|税務通信 READER'S CLUB

2022年7月6日

 

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税務の動向 住民税の配偶者控除適用漏れを防止へ
Q1

 所得税と個人住民税で合計所得金額の範囲が異なる理由は、所得税が現年所得課税、個人住民税が前年所得課税であると理解しましたが、なぜ、個人住民税は前年所得課税を採用しているのでしょうか?

A1

 所得税と個人住民税は、個人の所得に対する課税という部分で共通点が多い税目ですが、あくまでも互いに独立した税目であり、異なる部分も様々あります。その相違部分の代表例が、所得税は現年所得課税、個人住民税は前年所得課税という税負担のタイミングの違いです。

この理由は、所得税は申告納税方式、個人住民税は賦課課税方式を採用しているからだと言われています。

賦課課税制度とは、課税庁が主体的に納税者の税額を決定し、納税者に通知することによりその税額を確定させる仕組みですが、そもそも所得税も、昭和21年以前はこの賦課課税制度を採用していました。その後、昭和22年に申告納税制度に移行しましたが、この移行理由の一つが、現年所得課税への変更といわれています。昭和21年以前の所得税は、勤労所得に対しては源泉徴収による現年所得課税、自営業者等の所得については前年所得課税が行われていました。しかし、第二次世界大戦後にインフレーションが起きたことにより、前年所得課税方式の自営業者等の税負担が実質的に軽減される事態が生じました。その結果、自営業者等と勤労所得者との間での課税の不均衡が問題になり、このような弊害を解消するために、全体を現年所得課税とする必要性が提起され、その実現のために申告納税制度の導入ということになったようです。

このように、個人住民税が前年所得課税を採用している理由は、いまだに賦課課税制度が適用されていることと密接に関係していると思われます。市区町村は、個人の所得に関する情報を収集し、これに基づいて個人住民税の賦課決定を行うのですから、賦課課税制度を採用する限り、納税者の所得の稼得時期と課税時期とのタイムラグは避けられないのでしょう。

 

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