PEとは|税務通信 READER’S CLUB

2023年5月10日

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関連記事:No.3745(令和5年3月20日号) 12頁

税務の動向 「東京局 アイルランド法人のPE認定に係る文書回答」
Q1

 国際課税に関わることは少ないのですが、記事にある「PE」について、定義など最低限知っておくべきことを教えてください。

 

A1

 PEとは、日本語では「恒久的施設」といい、英語では「Permanent Establishment」と呼ばれるため、頭文字をとって「PE」と呼ばれます。このPEは、事業を行う一定の場所のことで、典型例としては支店をイメージしてもらえばよいと思います。

海外で事業を行う場合、その現地国で稼いだ事業所得に対して現地国から課税されるかどうかは、原則として、このPEが現地国にあれば課税、なければ課税なし、と判断することになります。

 

海外で課税されるかどうかの基準を、支店などの物理的施設のみで判定すると、現地国の課税権が制限されすぎることも考えられます。そこで、日本の法人税法上では、PEを以下のように、場所だけではなく人まで含めた概念にしています。①、②はイメージしやすいと思いますが、③のような代理人という自然人自体もPEになり得る、ということは、認識しておく必要があります。

① 支店PE:支店,事務所,工場その他事業を行う一定の場所

② 建設PE:1年超の建設・据付けの工事またはこれらの指揮監督を行う場所

③ 代理人PE:代理人等で,その事業に関し,反復して契約を締結する権限を有する(または契約締結のために反復して主要な役割を果たす)などの一定の者(独立代理人を除く)

 

実務において難しいのは、このPEの判定には、機能的な側面が重視されることです。そのため、PEの認定には事実認定の問題が生じます。例えば、ホテルの一室でも,それが事業活動の拠点となっていればPEに該当する一方、立派な倉庫があったとしても、それが単なる商品の貯蔵庫であれば,PEには該当しないこともあります。

 

なお、PEの判定において、租税条約において上記と異なる定めがある場合には,その租税条約上のPEの定義が国内法上のPEの定義とされます。つまり、租税条約におけるPEの定めが常に優先されるので、実務を行う場合には、租税条約上のPEの範囲を確認する必要があります。

 


Q1

 実務上、気を付けておくべきPEの論点を教えてください。

 

A1

 日本企業がPEの論点で知っておくべきことは、海外に拠点を持っていない日本企業であっても、海外でPE認定がされる可能性があるということです。

例えば、海外に専属の販売代理人がおり、その代理人が契約の締結までしているが、この日本企業以外の仕事をしていないようなケースです。このような代理人は、日本企業のPEと認定される可能性があります。

他には、日本企業の出張者が、海外において日本企業のPEとして認定されるケースもあります。「サービスPE」と呼ばれるもので、この出張者が海外で滞在して役務提供を行う活動自体がPEとして認定され、過去には中国当局からの指摘が問題になっていました。

 

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