不納付加算税が課されない場合|税務通信 READER’S CLUB

2025年11月12日

 

 

 

関連記事:No.3869(令和7年9月29日号) 09頁

税務の動向「特定親族特別控除 見積額誤りでも会社側にペナルティなし」
Q1

この記事で紹介されている「源泉所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)」において、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由のない例示として記事で紹介された(2)以外の内容を教えてください。

 

A1

記事で紹介された(2)以外の例示は、以下になります。

(1) 税法の解釈に関し、給与等の支払後取扱いが公表されたため、その公表された取扱いと源泉徴収義務者の解釈とが異なることとなった場合において、その源泉徴収義務者の解釈について相当の理由があると認められるとき。
(注) 税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たらない。(2) 略(3) 最寄りの収納機関が遠隔地であるため、源泉徴収義務者が収納機関以外の金融機関に税金の納付を委託した場合において、その委託が通常であれば法定納期限内に納付されるに足る時日の余裕をもってされているにもかかわらず、委託を受けた金融機関の事務処理誤り等により、収納機関への納付が法定納期限後となったことが、当該金融機関の証明書等により証明されたとき。

(4) 災害、交通・通信の途絶その他法定納期限内に納付しなかったことについて真にやむを得ない事由があると認められるとき。

 

(1)に関しては、過去のストックオプション課税のように、国税庁等において公表されていた見解が変更された場合が典型例です。当初公表されていた見解に従って計算・徴収していたものが、その見解が後に変更されたために追徴が必要になった場合などです。ただし、「源泉徴収義務者の解釈に相当の理由がある」ことが前提で、単なる「税法の不知・誤解」では認められないことに注意が必要です。

次に(3)ですが、「通常であれば法定納期限内に納付されるに足る時日の余裕をもって」委託していることが前提です。源泉所得税の納付期限当日に事務員が急病で欠勤し、収納機関へ出向くことができなかった場合に、「その納付期限までに納付すれば足り、納税者もそのことを知り当然に予定していたのであるから、正当な理由には当たらない」とされた事例もあります。

最後に(4)ですが、「真にやむを得ない事由」である必要があり、予測可能であったり、回避可能であった場合は認められません。例えば、積雪寒冷地において、冬期間の天候不順による航空機の遅延・欠航は「通常発生し得るもの」であり、「正当な理由」には当たらないとされた裁決例もあります。

 

なお、受給者が自らを非居住者であるという申告を鵜呑みにして計算した結果、源泉徴収税額が不足していたという事例もありました。この事例では、報酬の受給者が居住者か非居住者かの判断は、源泉徴収義務者(支払者)が行うべきであり、受給者の申告は参考資料にはなるものの、その申告に従っていたことだけを理由に「正当な理由がある」とは認められませんでした。

 

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