住宅用家屋の請負代金の支払いが3月15日後になる場合の住宅取得等資金の非課税の特例の適用関係

2022年8月1日

 

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住宅用家屋の請負代金の支払いが3月15日後になる場合の住宅取得等資金の非課税の特例の適用関係

[質問]

  • 令和3年11月 父より1,000万円を子Aに住宅取得資金贈与として贈与
  • 子Aは住宅用家屋を新築する請負契約を締結済み
  • 令和4年3月15日には棟上げが完了
  • 令和4年4月末 引渡し及び入居予定
  • 令和4年4月末に住宅メーカーに贈与資金より最終支払予定
  • その他要件は全て満たしている

この場合、贈与を受けた翌年3月15日までに贈与を受けた住宅取得資金の全額を対価に充てていないため、住宅資金贈与の特例は適用できないのでしょうか。

 

[回答]

措置法第70条の2に規定する住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例は、「平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間にその直系尊属からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、次に掲げる場合に該当するとき」に、一定の金額を贈与税の課税価格に算入しないこととするものであり、次に掲げる場合のうち新築の場合については、「特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに当該住宅取得等資金の全額を住所用家屋の新築…のための対価に充てて当該住宅用家屋の新築(新築に準ずる状態として財務省令で定めるものを含む。)をした場合において、同日までに新築…をした住宅用家屋を当該特定受贈者の居住の用に供したとき、又は新築…をした住宅用家屋を同日後遅滞なく当該特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき(住宅用家屋の新築…に係る契約を令和3年12月31日までに締結している場合に限る。)」とされています(措置法70の2①一)。

なお、住宅取得等資金とは、特定受贈者による住宅用家屋の新築の対価に充てるための金銭をいい(措置法70の2②五イ)、また、新築に準ずる状態として財務省令で定めるものとは、「屋根(その骨組みを含む。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態とする。」こととされています(措置法規則23の5の2①)。

 

ご質問は、住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅用家屋の新築がされておらず、住宅メーカーへの請負代金の支払いが4月末になることから、上記の規定中の「特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに当該住宅取得等資金の全額を住所用家屋の新築…のための対価に充てて当該住宅用家屋の新築(新築に準ずる状態として財務省令で定めるものを含む。)をした場合」に該当しないため、特例の適用はできないのではないか、ということですが、確かに、翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を支払っていなければ、この規定どおり特例の適用はできないこととなります。

ただ、ご質問の事例は、翌年3月15日までに棟上げまで完了しているとのことですから、同日現在で新築に準ずる状態にあったといえますし、住宅取得等資金とは、特定受贈者による住宅用家屋の新築の対価に充てるための金銭をいうと定義されているだけですから、仮に、同日までに請負代金の頭金や中間金を支払っていたとすれば、この頭金等は住宅取得等資金に該当し、その全額を住宅用家屋の新築の対価に充てたことになりますので、上記の場合に該当する余地はあると思います。

質問票に記載のある「令和4年4月末に住宅メーカーに贈与資金より最終支払予定」という状況が、どのような事実関係なのかよく分からないところではありますが、例えば、子Aが請負契約を締結して頭金を支払い、その後に父から資金贈与を受けた場合は、「その直系尊属からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者」という規定からすれば、その頭金は住宅取得等資金に該当しないと判断されるかも知れませんが、父から資金贈与を受けた後に請負契約を締結し、頭金を支払った場合は、その支払いが手持資金によるものなのか、贈与資金によるものなのかを区別する必要はないと思いますし、税務当局もそこまでギリギリ追求することはないと思います。

 

以上を整理すると、令和4年4月末に支払い予定の請負代金については、特例を適用する余地はありませんが、資金贈与を受けた令和3年11月以後、令和4年3月15日までの間に頭金等を支払っていた場合は、その頭金等について特例を適用して差し支えないと思います。

ただし、この特例については、期限後申告については適用がありませんので、念のため申し添えさせていただきます。

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

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