被相続人がショートステイ利用者だった場合の小規模宅地等の特例と3000万控除の適用

2022年10月4日

 

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被相続人がショートステイ利用者だった場合の小規模宅地等の特例と3000万控除の適用

[質問]

被相続人は生前いわゆる老人ホームには入居していませんでしたが、約3年ショートステイを継続して利用し、ご自宅では生活していませんでした。

特定居住用宅地等に該当するとして小規模宅地等の特例の適用を受けようと思いますが、仮に相続人がこの土地を売却する場合、空き家の3,000万円の控除は受けられますか。

 

[回答]

1 空き家の3,000万円特別控除の特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるものをいいます。

イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。

ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。

ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと。

なお、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定の事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋は被相続人居住用家屋に該当します。

 

2 ご照会は、老人ホームに入所してはいないが、ショートステイを継続して利用している場合に、この被相続人居住用家屋に該当するかというものですが、被相続人の居住の用に供されていたかどうかは、被相続人がその家屋を生活の拠点として利用していたかどうかの事実認定の問題となりますので、確たることはお答えできません。

生活の拠点として利用している家屋かどうかは、日常生活の状況、入居目的、家屋の構造・設備の状況等を総合勘案して判断しますが、入院や転地療養等の場合は生活の拠点は移動しないとされていることからして、ショートステイを継続して利用しているとしても、それをもって生活の拠点が老人ホームに移動したとみることは通常ないと考えます。

このため、ショートステイを利用していた頻度、自宅の構造・設備の状況等を確認し、それを基に生活の拠点はどこにあったのかを認定する必要があります。

その上で、「被相続人居住用家屋」に該当し、かつ、他の適用要件を全て満たす場合には、空き家の3,000万円特別控除の特例の対象となると考えます。

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

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