地積規模の大きな宅地に該当するか否かの判断基準

2024年1月9日

 

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地積規模の大きな宅地に該当するか否かの判断基準


[質問]

令和5年7月に相続が発生しました。
被相続人所有財産に次の不動産があります。

地目:田(間口11m、奥行100m、地積1,100㎡)

この土地は三大都市圏以外にあります。
地区区分は普通住宅地区に属し市街化区域内です。
都市計画の用地地域は工業専用地域以外で容積率は400%未満、大規模工場用地には該当しません。

以上のことから地積規模の大きな宅地に該当するのではないかと考えています。
なお、この土地は12年前に今回の被相続人が父親の相続で取得した土地です。
間口が11mで開発道路4mを抜くことを考えると一般的な戸建住宅を建てるには奥行きが十分にとれないとの判断から、相続税の申告では広大地の適用はしませんでした。

地積規模の大きな宅地に該当するか否かの判断に上記のような戸建住宅の敷地に適しているか等、土地の形状等を考慮して判断する必要があるのでしょうか。

 

 

[回答]

1 財産評価基本通達20-2に定める「地積規模の大きな宅地の評価」は、地積規模の大きな宅地を戸建住宅用地として分割分譲する場合に発生する減価を反映させることを目的としていますから、戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地を対象としています(国税庁担当官による「財産評価基本通達逐条解説」)。

そこで、「地積規模の大きな宅地」とは、三大都市圏では500㎡以上の地積の宅地、それ以外の地域では1,000㎡以上の地積の宅地で、次の①から④までのいずれかに該当するもの以外のものをいうものとしています(評基通20-2、上記逐条解説)。つまり、この「地積規模の大きな宅地」に該当する宅地は、上述の「戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地」であると考えられていることになります。

①市街化調整区域(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除きます。)に所在する宅地
②都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅 地
③指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
④倍率地域に所在する大規模工場用地

そして、「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象となる宅地は、路線価地域においては、「地積規模の大きな宅地」に該当する宅地であって、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものになり、倍率地域においては、「地積規模の大きな宅地」に該当する宅地となります。

 

2 したがって、「地積規模の大きな宅地の評価」は、評価対象地が「地積規模の大きな宅地」に該当しさえすれば(路線価地域においては、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在することも必要です。)、かつて「広大地の評価」の適用対象とならなかった路地状開発が行われるような宅地、いわゆる「羊羹切り」が可能な宅地、マンション適地、更には、開発を了しているマンション・ビル等の敷地であっても適用することができることになります。

ご質問の評価対象の田については、三大都市圏以外で地積1,100㎡、市街化区域内、容積率400%未満、普通住宅地区ということですから、市街地農地として「地積規模の大きな宅地の評価」を適用して評価することが可能です(評基通20-2、40)。

 

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

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