第三者間で相当地代の授受がある場合の法人借地人の借地権について

2024年11月28日

 

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第三者間で相当地代の授受がある場合の法人借地人の借地権について


[質問]

当社(甲)は同族法人で、第三者の個人(乙)より土地を賃借して、その上に建物を建て事務所・工場として使用しています。権利金を払っていないので、地代は当初から現在まで相当地代である6%以上を支払っています。この地区の借地権割合は60%です。

今回当社の株式の評価をするにあたり、甲と乙には貸主借主以外の関係はなく、相当地代以上の地代を支払っていますので、借地権は0円の評価でもいいのでしょうか。

昭和55年の借地権通達は同族関係者以外の他人との取引にも適用できるのかご教示ください。

 

[回答]

法人税法施行令第137条やご質問にある昭和55年借地権通達(法人税基本通達13-1-2~13-1-16)の適用範囲については、これを特殊関係者間の貸借に限定するような規定や定めとはされていないことから、第三者間においても適用されると考えます。

したがって、ご質問の事例については、甲法人の株式の評価に当たり、借地権の価額は0円として差し支えないと考えます。

 

なお、相当地代通達(昭和60年直資2-58ほか)においても、特殊関係者間に限定するような定めはありませんので、同様に第三者間でも適用があると考えるところ、その第6項では、個人地主の貸宅地の評価について、原則として、自用地価額の80%相当額とする旨が定められていますが、その注書では、「被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合においては、昭和43年10月28日付直資3-22ほか『相当の地代を収受している貸宅地の評価について』通達の適用があることに留意する。」とされており、昭和43年通達では、被相続人所有の貸宅地の評価については、自用地価額から20%相当額を控除した金額によることとし、被相続人所有の同族会社の株式の評価においては、自用地価額の20%相当額を借地権の価額として、同社の純資産価額に算入することとしています。

また、同通達の理由では、「地代率との相関関係から借地権の有無につき規定している法人税法施行令第137条の趣旨からすれば、本件の場合土地の評価に当たり借地権を無視する考え方もあるが、…本件における土地の評価についても借地権割合を20%とすることが適当である。なお、本件における借地権の価額を被相続人が所有するI株式会社の株式評価上、同社の純資産価額に算入するのは、被相続人が同社の同族関係者である本件の場合においては、土地の評価額が個人と法人を通じて100%顕現することが、課税の公平上適当と考えられるからである。」と説明しています。

そうすると、逆に、被相続人が法人の同族関係者でない場合は、土地の評価額を個人と法人を通じて100%顕現する必要はないと考えることができますので、個人地主の貸宅地評価で借地権の価額(自用地価額の20%相当額)を控除するとしても、法人の株式評価においては、借地権の価額を計上する必要はないというように考えることができると思います。

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

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