居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用関係

2025年4月30日

 

 

 

 

居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用関係


[質問]

Aは令和4年に既に亡くなった母方の祖父から代襲相続で祖父が居住していた家を相続しました。同年に当該不動産を第三者に売却しました。

取得費不明のため譲渡益が出ていましたが、被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除を使って確定申告しています。

Aは父と平成16年から父名義の家に同居しています。令和4年5月19日にAの父が亡くなったため、Aは住んでいる家を父から相続しました。

Aは令和5年4月に新たに家を買ってそちらに引越しして住民票も移しました。Aは父から相続した家を令和6年2月に譲渡しました。

この状況で、父から相続した不動産を譲渡した令和6年の譲渡所得の申告について、マイホーム特例を適用することは可能でしょうか。新たに購入した家に住宅ローン控除は適用しません。

 

[回答]

ご質問の事例のAは、令和4年分の譲渡所得について、措置法第35条第3項の被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除(以下「空き家特例」といいます。)を適用して申告し、一方、令和4年5月19日に、父と同居していた居住用家屋を父から相続で取得し、令和5年4月に転居後、令和6年2月に当該家屋を譲渡したとのことです。

 

ご質問は、令和6年2月に行った当該家屋の譲渡について、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用が可能かどうかとのことです。

Aは、令和4年分に空き家特例を適用していますので、重複適用が排除されていないかどうかの問題を心配されてのことだと思いますが、その前に、当該家屋の譲渡が特例の適用対象となる居住用財産の譲渡に該当するかどうかについて、一応、確認しておきますと、次のとおりです。

すなわち、Aは、当該家屋を父から相続で取得後、令和5年4月まで当該家屋に所有者として居住しています。また、空家にしてから10か月後の令和6年2月に譲渡していますから、当該家屋の譲渡は、措置法第35条第2項第2号に規定する「居住用家屋で当該個人の居住の用に供されなくなったものの譲渡…を、これらの居住用家屋が当該個人の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした場合」に該当し、同条第1項に規定する「居住用財産を譲渡した場合」に該当することになります。

 

次に、肝心の重複適用の問題ですが、措置法第35条第2項では、「前項に規定する居住用財産を譲渡した場合とは、次に掲げる場合(当該個人がその年の前年又は前々年において既に同項(次項の規定により適用する場合を除く。)…の規定の適用を受けている場合を除く。)をいう。」と規定し、かっこ書きで同条第1項の重複適用を排除していますが、アンダーラインのとおり、かっこ書き内のかっこ書きで、同条第3項の空き家特例の適用は排除していません。

したがって、令和6年2月にAが行った当該家屋の譲渡について、居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用することは可能ということになります。

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

 

 

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