同居の親族が建物の一部を事業の用に供している場合の特定居住用宅地等の判定

2026年2月26日
同居の親族が建物の一部を事業の用に供している場合の特定居住用宅地等の判定
[質問]
2階建て建物及び敷地・・・被相続人全部所有(区分所有ナシ)
被相続人は1階で起居しており、2階は同居している相続人の住居兼個人事務所となっており、かつ相続人が代表を務める会社の事務所として使用しています。
個人事務所、同族会社からはいずれも賃料を収受しておらず、使用貸借です。
この相続人が建物及び土地を相続する場合、土地全体において特定居住用宅地として小規模宅地の80%評価減を適用して差し支えないでしょうか。
[回答]
1 小規模宅地等の特例の被相続人等要件
租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価額の計算の特例》(以下「小規模宅地等の特例」という)の対象となる宅地等は、個人が相続又は遺贈により取得した財産のうち、被相続人が所有していた宅地等で、相続開始の直前に被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の事業又は居住の用に供されていたもので、建物又は構築物の敷地の用に供されているものになります。
2 特定居住用宅地等の取得者要件
被相続人が所有していた宅地等を相続又は遺贈により取得した者について、取得した宅地等が特定居住用宅地等に該当するためには、その取得者に応じて次の要件を満たす必要があります(措置法69条の4条第3項第2号)。
⑴ 取得者が配偶者の場合は、特に要件はありません。
⑵ 取得者が被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族の場合は、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。
⑶ 取得者が⑴及び⑵以外の親族の場合は、
イ 居住制限納税義務者等のうち日本国籍を有しない者ではないこと。ロ 被相続人に配偶者がいないこと。
ハ 相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた相続人がいないこと。
ニ 相続開始3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族などが所有する家屋に居住したことがないこと。
ホ 相続開始時に取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと。
ヘ その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。
3 特定居住用宅地等の該当性
ご照会の被相続人が所有していた宅地等は、被相続人が居住していた区分所有建物ではない一棟の建物の敷地になりますので、被相続人の居住の用に供していた宅地等の範囲には、その敷地のうち被相続人の居住していた部分に加え、被相続人の親族の居住の用に供されていた部分も含まれます(措置法令40条の2第4項)。したがって、その宅地等を相続等により取得した相続人が、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族、いわゆる「同居の親族」で、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有している場合には、その相続人が取得した宅地等のうち、被相続人等の居住の用に供されていた部分は、特定居住用宅地等に該当します。
ところで、ご照会の建物は相続人が個人事務所として利用している部分とその者が代表を務める会社の事務所として使用している部分があるということですが、これらの部分は被相続人等の居住の用に供されていたものには該当しないため、特定居住用宅地等の対象になりません。
しかしながら、相続人が個人事務所として使用している部分が、相続人の事業の用(貸付事業を除きます。)に供されていたものと認められる場合には、建物所有者である被相続人が無償で建物を貸し付けています。この場合、生計を一にしていた親族の事業の用に供されていた宅地等に該当して(措置法通達69の4-4)、事業継続と保有継続の要件を満たすことによって特定事業用宅地等の対象になりますので、この適用の可否について検討してみてください。
なお、相続人が代表を務める会社の事務所として使用している部分が、特定同族会社の事業の用(貸付事業を除きます。)に供されていたものと認められる場合には、特定同族会社事業用宅地等の対象になりますが、建物所有者である被相続人が特定同族会社に有償で建物を貸し付けていることが要件になりますので、この部分の適用は難しいものと考えます。
(税理士懇話会・資産税研究会事例より)














