東京地裁 「総則6項」巡る事件で国敗訴

2024年2月21日

 

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東京地裁 「総則6項」巡る事件で国敗訴

東京地方裁判所(民事第51部:岡田幸人裁判長)は1月18日、非上場株式の相続税評価に係る「総則6項」を巡る事件で、総則6項の適用を認めず、国の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(本件各更正処分等)をいずれも取り消した。裁判で総則6項の適用が認められなかった事件は初めてとみられる。現在、国が本判決を不服として控訴しており、今後の裁判の行方が注目される。

本件は、本件被相続人の子である法定相続人の原告AとBが相続により取得した非上場株式(本件被相続人が代表取締役のX社株式(本件相続株式))について、X社は「大会社」(評基通178)に該当するため、評価通達に基づき「類似業種比準価額」(評基通180)によって1株当たり約8千円と評価して相続税の申告をした。

しかし、国側は、評価通達の定めによる評価が著しく不適当として、国税庁長官指示により評価する総則6項に基づき、類似業種比準価額とは異なる株式価値の算定金額に基づき1株当たり約8万円と評価したうえで本件各更正処分等を行った。争点は、「本件相続株式を総則6項により評価することの適否」である。

東京地裁は、令和4年4月19日の最高裁判決に基づき、本件相続株式の原告側の通達評価額と国側の算定価額が約10倍と大きくかい離していることのみをもって、実質的な租税負担の公平に反するとはいえないとしている。

そのうえで、総則6項の対象と解される「本件では類似業種比準価額による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情(特段の事情)」について、相続開始前に税軽減効果を持つ積極的な行為をしていたという程度の事情が必要とし、本件相続株式の譲渡の合意に至っているという事情は特段の事情に当たらないとした。

よって、本件相続株式の価額は、原告側の通達評価額によって定められるべきと判断している。

(情報提供:週刊 税務通信)

 

 

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