【その1介護休業の基礎知識】
| 働く人が知っていると得をする社会保険の知識 第31回
2025年7月25日
その1介護休業の基礎知識
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このコラムでは働く皆さんが知っていると得をする社会保険、労働保険、あるいは周辺の労働法関係のテーマを取り扱い、「イザ」というときにみなさんに使っていただくことを狙いとしています。したがって、「読んで終わり」ではなく「思い出して使う」または「周囲の人へのアドバイス」に役立てていただければ幸いです。
さて、みなさんは家族を介護した際に大きな助けとなる「介護休業給付金」を知っていますか?育児休業はともかく、介護休業については「なんとなく」という感覚が多いように感じます。ましてや、実務手続きについては、十分理解されているとは言い難いように思います。また、この制度の内容は令和7年4月1日施行の改正育児介護休業法の「介護離職の防止」にも関係しますので、経営者や企業の担当者はその観点からも理解しておくことが必要です。
今月から2回に分けて「介護休業給付金」についてみていきますので、まだ介護について実感がわかない方も、この機会に内容を確認しておきましょう。
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介護休業とは
まず、労働者における介護休業とは「要介護状態(*1)」にある「対象家族(*2)」を介護するために会社に申出をして取得する休業のことです。
介護休業が取得できない従業員
介護休業は、すべての従業員が対象になるわけでありません。また、労使協定の締結の有無でも対象となる従業員の範囲が異なりますので注意が必要です。
介護休業の申込
介護休業の取得に関しては、原則、介護休業の2週間前までに「介護休業申出書(*3)」を会社に提出していただくことが必要になります。また、会社は雇用保険の「介護休業給付金」の受給にも備えなければなりませんので、要介護者となる家族と従業員の関係、要介護者のマイナンバー等がわかるものも併せて準備してもらうように伝えしましょう(令和7年4月施行の改正育児介護休業法により、介護が必要な旨の申出をした従業員に対して個別の周知・意向確認の措置、が義務化されています。会社はあらかじめ個別周知・確認用の書式も準備しておくとよいでしょう)。
(注)雇用保険の「介護休業給付金」の受給を考慮しています。受給するには原則マイナンバーの記入が必要であるため、管理が外部委託の場合は、書式変更ややり取りの工夫が必要になると思われます。
介護休業給付金とは
上記の介護休業中の経済的支援として、一定の要件を満たす雇用保険の被保険者に支払われるのが護休業給付金です。その額は休業開始時賃金日額の67%相当額ですが、支給上限があり、介護休業期間中に賃金の支払いがある場合は減額されることもあります。
ま と め
今回は、「介護休業給付金」の基本事項をお伝えしました。
次回は実際に担当者が手続きする上での注意点についてとりあげます。
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特定社会保険労務士小野 純
一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。
