補助金・助成金の活用をサポート
~会計事務所が顧問先のためにできること~
【ZEIKEN PRESSインタビュー /株式会社エフアンドエム 今野聖也 氏】

2023年2月17日

今回は、「経営革新等支援機関推進協議会」を運営する株式会社エフアンドエム 士業コンサルティング事業本部の今野氏に、今注目されている「補助金・助成金支援」について、会計事務所を取り巻く環境の変化を踏まえ、お話を伺いました。

 

 

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――:早速ですが、会計事務所を取り巻く環境について、顧問先である中小企業の現状も踏まえてどのように感じているか、お話いただけますでしょうか。

 

今野:まず一番大きなところでは、新型コロナ感染症が拡大して以降、会計事務所自体も大きく変化したと思うのですが、会計事務所にとっては、顧問先である中小企業との付き合い方も大きく変化したと思います。

中小企業の経営者にとって、事業を継続していく中で、お金まわりというのは切っても切れない一番重要なところでありますが、実は、多くの経営者にとっては苦手な分野でもあります。

新型コロナ感染症拡大による影響に伴い、中小企業の資金繰りの支援強化のために発表されたいわゆる「ゼロゼロ融資」も、民間金融機関のものや、日本政策金融公庫などの政府系のものもあります。補助金でも「事業再構築補助金」、「ものづくり補助金」などいくつもあります。

経営者は、その一つ一つを詳しく理解しているわけではないので、「何をどう使えばいいのか、自社にとって何がいいのか」というのがわかりません。そのため、それらを顧問の税理士先生に相談する機会はとても増えたのではないかと思っています。

一方で、会計事務所は、補助金や助成金支援に対応できるノウハウをお持ちではない場合も多いのではないかと思います。積極的に支援している会計事務所もいらっしゃると思いますが、実情としては、なかなかそこまで対応できていない会計事務所の方が多いという印象があります。

そういった中で、中小企業の経営者が「会計事務所に何を求めているのか」が、この新型コロナを契機に露骨に変わってきたと感じています。

今までは、税務申告、月次決算、決算をしっかり対応してくれることが会計事務所に期待するところだったと思うのですが、徐々に、経営や資金繰りなど、会社としていろいろと相談できる相談役としての価値を求めてきているように感じます。

私たちも新型コロナ以前から、経営革新等支援機関推進協議会(以下、協議会)を運営していますが、以前は、会計事務所としても、通常業務が忙しいので、中小企業の経営や資金繰りに関するサポートをあまり業務として受けたくない、というお話を会員である税理士先生から聞いておりました。

しかし、新型コロナが始まってからのこの2年で状況は変わって、「経営者を助けたい、会計事務所として、顧問先を助けないといけない」とこれまで以上に強く思い、支援を始められた方がとても多いと感じています。

 

 

――:一方で、先ほどお話がありましたけども、補助金・助成金というと、いつくも種類があって、情報をどう取るのか、また、どれがいいのかがわからないという話をよく聞きます。今、どのような補助金・助成金が注目されているのかを教えていただけますでしょうか。

 

今野:この数年では、一番は「事業再構築補助金」だと思います。申請件数は、毎公募2万件くらいあります。非常に大きな予算枠が組まれたというところも大きな要因かと思います。

その他、規模の小さな会社は、「小規模事業者持続化補助金」を活用されるケースもあります。この2つの補助金の申請件数は多いと思います。

 

 

――:今お話しにあがった「事業再構築補助金」と、「小規模事業者持続化補助金」を中心に、中小企業で活用しやすい補助金の概要を教えていただいてもよろしいでしょうか。

 

今野:はい。現在、よく活用されている主要な補助金は5つあります。

1つ目が「事業再構築補助金」、2つ目が先ほどご説明した「小規模事業者持続化補助金」という持続化補助金。3つ目が「ものづくり補助金」で、4つ目が「IT導入補助金」。5つ目が「事業承継・引継ぎ補助金」です。

この5つが国の予算で動いている主要な補助金ですけども、「事業再構築補助金」は基本的に設備投資、システム導入が前提で、かつ、既存の事業が厳しいから新しいことを始める場合に使う補助金です。「ものづくり補助金」は同じような設備システムの導入が対象ですが、既存の事業を伸ばすために使用する補助金です。

「小規模事業者持続化補助金」は設備投資も対象ではあるのですが、メインは販売促進の費用に対する補助金です。ツール作成とかウェブページを作成するなどです。また、サービス業の場合は従業員が5名以下などというように、対象が小規模事業者に限定されています。

会社の置かれている状況により、どの補助金を活用するのかを考える必要がありますので、企業をサポートする会計事務所の方々も、補助金や助成金の最新情報や活用方法を習得していただければと思います。

 

 

――:採択状況や、スケジュールも気になるところですが、どのようになっていますか。

 

今野:基本的には国の補助金は予算枠が決められているので、予算枠の消化スピードを見ると、公募の締め切りのタイミングが予測できます。一般的には、3ヶ月か4ヶ月ごとに公募があり、また次の公募が始まります。事業再構築補助金などでは、「いつに締め切り、次の公募はいつからいつぐらいまで」というのは、過去何年もやっているので予測ができます。

採択率については、事業再構築補助金の場合、50%ちょっと切るぐらいですね。昨年に始まった当初は35%ぐらいでしたが、徐々に上がってきている印象があります。

 

 

――:採択されるためのポイントはありますでしょうか。

 

今野:あります。基本的に補助金申請の審査項目はあらかじめ決まっています。その審査項目に沿って、補助金を使って何をするかを申請書に記載するというのが、簡単に言うと補助金申請のポイントです。審査項目に沿っていない計画書を作成されても不採択になる可能性が高いです。

 

 

――:そうすると会計事務所もそういった補助金に関するノウハウを蓄積していく必要があるということですね。

 

今野:そうですね。例えば、事業再構築補助金ですと、中小企業庁の認定支援機関の検索システムで、どこの会計事務所が何件採択されているかをデータで見ることができます。手前味噌ですが、つい先日の実績で、採択屋号のランキングを見ると、トップ100のうち、協議会の会員が44事務所もあり、半分弱を占めています。

また、事業再構築補助金を例にとってみると、全ての認定支援機関のうち、採択経験がある会計事務所の割合がざっくり15%なんですが、協議会の会員でみると、だいたい会員1700弱のうち採択経験がある会計事務所が670~680ぐらいありましたので、約4割は採択をとった経験があるという数字でした。当然、補助金支援に力を入れたくて入会した会計事務所もいらっしゃると思うのですが、平均でも4割程度は採択されているので、上手く協議会のツールを活用いただけていることが、結果につながっていると思います。

 

 

――:補助金・助成金に関する情報はどこから入手すればいいのですか。

 

今野:一番掲載されているのは中小企業庁のホームページですとか、経済産業省のホームページですね。ただ一つ難点は、それはあくまで国のオープンな資料なので、それをどのように活用していくべきなのか、というのは読み解いていかなければなりませんので、ご経験がある方でないと少し難しいかもしれませんね。

 

 

――:そういう意味では、特に経験のない方は、経験のある専門家からのサポートやノウハウ提供を受ける必要が出てくるのですね。

 

今野:そうですね。私たちも、まだ協議会に入会していない会計事務所の方とお会いする際に、過去に補助金の採択をとれなかったというお話もよく聞くのですが、詳しく聞くと、本業がお忙しくて、ほとんど関われていないケースも多いんですよね。

かといって時間を取るにしても、経験の少ない場合は、どうやって申請したらよいのかがわからないという方も多いです。ですので、時間を取るのも大事ですが、それよりも、経験者が得たノウハウを活用するなど時間の取り方というのもポイントだなと思っています。

 

 

――:会計事務所の方々に、顧問先に補助金・助成金支援を行うにあたって、アドバイスいただけますか?

 

今野:顧問先の経営者に主体的に取り組んでもらえるよう会計事務所の方から促していくことをお勧めします。たとえば、顧問先の経営者に、実際に提出申請書を見てもらい、その出来上がりをイメージしてもらってはいかがでしょうか。

というのも、「この補助金、少し興味がある」「知り合いの社長が勧めてきたので、うちの会社でも申請できないか」などと、顧問先の経営者から相談されることはないでしょうか。つまり、顧問先の経営者は、まだ申請書も見ておらず、申請書の出来上がりをイメージできていない段階で相談しているのです。

しかし、補助金の申請書自体は、基本的には経営者が考えたものをアウトプットするという作業です。ですから、経営者にどういう出来上がりになるのかをイメージしてもらうことがとても大切なのです。

これをイメージさせずにいると、多くの場合、「先生、作ってください」と丸投げされてしまうので、工数がとても掛かってしまいます。また、先生も出来上がりのイメージがないと、作成するのに余計に時間がかかってしまいます。

それで、お勧めしているのが、申請書のサンプルを見ていただくことなのです。申請書のサンプルは作成の際にも参考になりますが、経営者の方に出来上がりのイメージを掴んでもらうためにも活用することができるのです。

 

 

 

――:最後に、会計事務所の方々にメッセージをお願いできますでしょうか。

 

今野:私も、この十数年、税務会計業界にずっと携わらせていただいて感じるのですが、税務会計業界というのは、まだまだ先の見通しが本当にわからない業界かなと思っております。

顧問先の影響を受けやすい業界であるとともに、一方で、決算対応・確定申告・年末調整などといった期限のある仕事に追われる常にお忙しい仕事であると思います。また、人材採用が比較的うまくいきやすい業界かというと、多分そうではないと思うんですよね。ですから、一層マンパワーが不足してしまうのではないかと思っています。

だからこそ、会計事務所と一緒になって、顧問先からの満足度を向上させて、会計事務所としての総合的な力を引き上げていくサポートができればと思っています。

 

 

――:本日は、ありがとうございました。

 

 

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株式会社エフアンドエム 士業コンサルティング事業本部 本部長今野聖也

「経営革新等支援機関推進協議会」の新規事業立ち上げメンバーであり、現在、協議会の責任者として営業企画、マーケティングなど統括している。自らも会計事務所向けのマーケティング支援や実務支援、補助金や助成金セミナー講師などを担当している。

「経営革新等支援機関推進協議会」では、補助金や助成金に強い会計事務所になるための体験型カリキュラム「実務支援体験型プログラム」をはじめとした会計事務所向けの各種サービスを提供している。また、補助金申請をサポートする「申請書サンプル」「申請添削」「個別面談」の各サービスも提供している。

» ZEIKEN PRESSリリース記事(株式会社エフアンドエム)
» 経営革新等支援機関推進協議会HP:https://fm-suishinkyogikai.jp/

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