協力的手法を通じた自発的な適正申告の推進 ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル5月号】
2025年5月12日
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このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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協力的手法を通じた自発的な適正申告の推進
国税庁は、納税者の自発的な適正申告のために、大企業に対しては「協力的手法」を活用し、適正な申告を促しています。「協力的手法」とは、企業と国税庁が協力しながら、自発的な税務コンプライアンスの強化を目指すもので、特に、税務について経営責任者等が自ら適正申告の確保に積極的に関与し、必要な内部体制を整備する「税務CG(コーポレートガバナンス)」を充実させていくことが重要となります。
国税庁が公表した令和5事務年度の調査結果によると、税務CGの状況の総合評価は、調査対象110法人のうち、「良好」とされた法人が30社、「おおむね良好」が73社、「改善が必要」とされた法人が7社でした。前年と比較すると、「良好」とされた企業の割合が増え、「改善が必要」と判断された企業の割合は減少傾向にあります。
「経営責任者等の関与・指導」に関する項目では、「良好」と評価された企業が約9割を占め、前年の7.5割から向上しています。一方で、「税務に関する内部牽制の体制」については「良好」と評価された企業が2.5割に止まり、前年の2割から若干の改善が見られるものの、引き続き強化が求められます。
「税務調査への的確な対応」は6割、「帳簿書類等の保存状況」は7割が「良好」でした。これらは、自発的な適正申告に向けた体制・環境等構築の観点から重要な要素と考えられており、一層の充実が期待されます。国税庁は「再発防止促進プログラム」を実施し、税務調査で指摘された問題が再発しないよう、具体的な防止策の策定・運用を促しています。
官報の電子化と手数料の消費税
令和7年4月1日から、官報の紙媒体での発行が廃止され、完全電子化されました。これにより、官報の掲載情報は官報発行サイトに電子データで掲載されることになっています。
従来、官報は紙媒体の刊行物として販売されており、定期購読料には軽減税率(8%)、1部売りには標準税率(10%)が適用されていました。しかし、電子化に伴い紙媒体の販売は終了し、官報発行サイトでの電子データ提供に一本化されました。ただし、インターネット環境がない方には、当面の間、官報掲載事項を記録した書面が交付されます。
この書面の交付には手数料が発生しますが、国税庁は令和7年1月21日付で、この書面は「行政手数料」に該当するため、消費税は非課税であると公表しています。理由として、官報掲載事項を記録した書面は消費税法上の「公文書」に該当し、消費税法第6条第1項等の規定に基づき非課税扱いとなるためです。
また、官報の電子データを光ディスクや電子メールで提供する場合や、災害・通信障害時に発行される「書面官報」についても、同様に消費税は非課税とされています。
IT導入補助金の不正受給の調査が本格化
中小企業庁は、IT導入補助金の不正受給が多数発覚したことを受け、令和7年1月17日から調査を開始しています。
この調査は、IT導入補助金を受けたすべての事業者が対象となっており、メールで通知が来て指定のWebフォームからの回答を求められます。調査では、補助金を利用したITツールの導入状況や、不正行為の有無に関する報告が必要です。
IT導入補助金事務局は、補助金の交付規程に基づき、IT導入支援事業者や補助事業者に対し、現地調査を含む立入調査を行っています。この調査で、交付規程や公募要領の定めに違反する事実が確認された場合、IT導入支援事業者の登録取消や補助事業者の交付決定取消の措置が取られます。また、事業者名の公表や、中小企業庁が管轄するすべてのIT導入補助金事業からの排除、さらには警察への通報といった厳しい対応がなされることもあります。さらに、正当な理由なく立入調査を拒否した場合も同様の措置が適用されるため、調査には適切に対応する必要があります。
不正関与を認識しながら補助金を受け取った場合、後年の手続きで補助金を返還しなければなりません。具体的には、「自己申告書」を事務局サイトからダウンロードし、記入後、事務局へメールで提出します。その後、事務局の確認を経て通知が送られるため、通知に記載された指定の返還口座へ期日までに補助金を返還する必要があります。なお、自主的に返還する場合でも加算金や延滞金が発生するため、当初の補助金より返還額が増える可能性があります。
また、意図せず補助金を受け取った場合も、後年の手続きで返還が必要です。この場合、「誓約書」を事務局サイトからダウンロードし、記入後に事務局へメールで提出します。その後、事務局の審査を経てメールが送信されるので、申請マイページにログインし、事務局からの通知内容を確認した上で、指定の口座に返還します。なお、「誓約書」による返還の場合、原則として加算金は課されません。
不正受給が発覚した場合、法人税や所得税の修正申告が必要になる可能性があります。補助金を収益として計上していた場合、返還時にその処理を取り消す必要があり、圧縮記帳を適用していた場合も訂正が必要です。この際、税務申告に誤りがあると、修正申告や追加納税が必要となる場合があります。また、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する可能性もあるため、税務処理については税理士などの専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
補助金を受けた事業者は、調査の通知が届いたら速やかに対応し、不正が疑われる場合は自主的に申告することが求められます。事業者としては、補助金の適正な利用を徹底し、不正の疑いを持たれないよう十分な管理を行うことが重要です。
※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
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