簡易課税選択ミスで加算税賦課 ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル6月号】

2025年6月11日

 

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このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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簡易課税選択ミスで加算税賦課

国税不服審判所から公表された令和6年9月26日の裁決事例について解説します。

本件は、消費税の簡易課税制度選択届出書を提出している納税者が、本来であれば簡易課税制度を適用すべきところ、誤って本則課税制度で申告したというものです。簡易課税制度は、業種ごとに決まったみなし仕入率を用いて計算するため、本則課税に比べて納税額が少なくなるケースが多いのですが、本件では逆に、簡易課税での申告の方が納税額が多くなるというものでした。

納税者は税務署からの指摘に基づき修正申告しましたが、結果として納税額が当初より増えたため、過少申告加算税が課されました。さらには過少申告加算税の加重分も加算されたため、これを不服として審査請求を行った事案です。

納税者側は、申告書を提出した際に、税務署から申告書の様式が誤っている旨の行政指導があれば、過少申告加算税が発生しなかった、と主張しました。また、過少申告加算税を課したことが不当でなかったとしても、課税売上高に変動がなく、納付すべき税額が本件調査を開始する前から確定しているような場合には、過少申告による納税義務違反には当たらず、加重分の加算も不当である、と反論しました。

一方、国税側は、税務調査前に行政指導の実施を義務付ける規定はない。申告納税方式の下では、納税者が自己の責任で正しく申告すべきであり、誤って本則課税を適用したこと自体が納税者の責任である、と主張しました。また、過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば原則として課されるものであり、加重分も必然的に課されるものである、過少申告となった原因によって不適用とする規定はないため、不当とは言えない、と主張しました。

これらの主張に対し、審判所は国税側の意見を支持し、「本件賦課決定処分は適法である」と判断しました。その結果、審査請求は棄却されています。

簡易課税制度選択届出書を提出しているにもかかわらず、その存在を失念し、本則課税制度で申告してトラブルになるケースが多々あります。過去には、誤って本則課税で多額の還付申告を行ったものの、後に簡易課税が適用されることが判明して追徴課税をされた事例もあります。簡易課税制度は、課税期間終了後に選択を変更することはできず、本則課税に比べて予想外に納税額が多くなったとしても遡って不適用とすることは認められません。課税売上の変動や設備投資がある際には、届出書提出の有無を早めに確認することが重要です。

 

保険外交員は「代理業」

平成29年度以降、東京都では生命保険外交員の業務を「代理業」として個人事業税を課税する運用に転じています。この取扱いをめぐって争われた事件について、令和7年3月4日、東京地裁で原告19人(納税者)の請求を棄却する判決が下されました。

原告らは生命保険募集人(以下「保険外交員」)であり、生命保険会社と営業社員雇用契約を結び、歩合制報酬を受けていました。保険外交員の報酬は通常、事業所得に該当しますが、これが「代理業」に当たるかどうかは議論の対象となってきました。その理由としては、保険外交員が地方税法に列挙された「事業」に含まれていないことや一部の道府県では保険外交員を「代理業」に認定していないことなどが挙げられます。

裁判では、原告らが代理権を持たないため「代理業」には該当しないと主張しました。しかし、判決では、商法27条の「代理商」概念と整合的に解釈し、代理権の有無にかかわらず「反復継続的に取引の代理や媒介を行う事業」は課税対象と判断されました。また、報酬体系や業務の独立性などから、外交員業務は「自己の計算と危険による独立した事業」に該当すると結論づけられました。

今回の判決を受け、保険外交員の事業を「非課税」としている自治体の対応が注目されます。外交員を含む委託型業務に従事する方は、自身の業務実態を再確認し、必要に応じて専門家に相談することが望ましいでしょう。

 

マイナンバーカードの初期化がコンビニで

マイナンバーカードの電子証明書の暗証番号が、コンビニエンスストア等で初期化・再設定できるようになりました。これにより、利用者は住民票のある市区町村に出向くことなく手続きが可能となりました。ただし、手続きが可能なのは、「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」のいずれか一方の暗証番号を把握している場合に限られ、両方が不明な場合は従来通り市区町村での対応が必要ですのでご注意ください。

手続きは、スマートフォンで専用アプリ「JPKI暗証番号リセット」をダウンロードし、アプリから事前予約を行います。予約後、コンビニ等にマイナンバーカードを持参し、キオスク端末(マルチコピー機)で「行政サービス」メニューからガイダンスに従って操作します。本人確認として、「署名用パスワード」初期化時には「利用者証明用パスワード」(数字4桁)を、「利用者証明用パスワード」初期化時には「署名用パスワード」(英数字6~16桁)を入力します。キオスク端末の利用時間は6:30 ~ 23:00です。

 

 

 

 

※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。


 

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