所得税の基礎控除等の見直し ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル8月号】
2025年8月13日
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このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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所得税の基礎控除等の見直し
令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除および給与所得控除の見直しが行われました。加えて、「特定親族特別控除」が新たに創設されています。これらの改正は、令和7年12月1日に施行され、令和7年分から適用されます。ただし、令和7年11月までの給与に対する源泉徴収事務は従来どおり行い、年末調整において改正後の計算を行うこととなります。
①基礎控除の見直し
従来の「合計所得金額2,400万円以下は一律48万円の控除」から所得に応じた逓減方式となります。令和7年分および8年分においては、合計所得金額に応じて5段階に区分され、令和9年分以後は、95万円と58万円の2段階となります。
② 給与所得控除の見直し
従来の給与所得控除の最低保証額は55万円でしたが、改正により、65万円に引き上げられます。
③ 特定親族特別控除の創設
特定親族特別控除は、居住者が特定親族(19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超123万円以下の親族)を有する場合に適用される新たな所得控除です。特定親族の合計所得金額に応じて控除額が段階的に逓減する仕組みとなっています。
中小企業者等の法人税率の特例の見直し
法人税の本則税率は23.2%ですが、資本金1億円以下の普通法人等、いわゆる中小企業者等については、一定の要件を満たす場合に限り、所得金額のうち年800万円以下の部分に対して15%の軽減税率が適用される特例措置が講じられています。この軽減税率は、企業の成長支援と資金繰りの安定化を目的とするもので、長年にわたり延長が繰り返されてきました。
令和7年度税制改正においては、この軽減税率の適用期限が2年延長され、令和9年3月31日までに開始する事業年度まで適用されることとなりました。これにより、引き続き中小法人に対する税負担の軽減効果が維持される一方で、制度の実効性と公平性を確保する観点から、次のとおり見直しが行われました。これらの見直しは、令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
① 所得金額が年10億円を超える事業年度については、年800万円以下の所得部分に対して適用される税率が15%から17%に引き上げられます。
② グループ通算制度の適用を受けている法人については、軽減税率の特例の対象から除外されます。
なお、従来からの取扱いとして、前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える中小法人は、軽減税率の適用対象外とされており、この要件については引き続き維持されます。
戸籍のフリガナ記載による影響
令和7年5月26日から、戸籍に氏名のフリガナを記載する制度が始まりました。これにより、本籍地の市区町村から、戸籍に記載される予定のフリガナが順次通知されています。発送時期は自治体によって異なり、施行日から3か月ほどかかる場合もあります。
令和7年5月26日以降、自動的に戸籍にフリガナが記載され、各自がマイナポータルで確認することもできます。マイナポータルや通知されたフリガナに誤りがない場合は特に手続きは不要ですが、誤りがある場合は届出が必要です。届出は、マイナポータルでのオンライン申請、市区町村窓口、または郵送による申請の3つの方法があります。
この制度により、将来的には税務署が管理する納税者名簿などにもフリガナ情報が活用され、書類の誤送付や誤課税といったトラブルの防止が期待されます。ただし、現時点では戸籍のフリガナと税務署システムとの連携は行われていません。そのため、税務署に提出する届出書や申告書には、氏名のフリガナを省略せず、正確に記載する必要があります。
書類作成の際には、住民票やマイナンバーカードの表記と一致させることも重要です。フリガナの統一により、行政手続きの円滑化が進むことが期待されます。
※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
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