令和7年分 年末調整は“12月1日”で変わります ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル10月号】
2025年10月10日
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このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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令和7年分 年末調整は“12月1日”で変わります
令和7年度税制改正により、令和7年分の年末調整では、従前と異なる対応が求められます。経営者や経理担当者の方は、年末調整の実務に支障が出ないよう、早めの確認と準備をおすすめします。
まず重要なのは、令和7年分の所得税について、12月1日以降は改正後の法令が適用される一方で、それ以前は改正前の法令が適用される点です。申告書様式も、11月30日以前に行う年末調整では、令和6年分の様式を必要に応じて補正して使用することになります。
今回の改正では、合計所得金額に応じた基礎控除額の見直しや、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられるなど、控除制度が見直されました。これに伴い、「給与所得控除後の給与等の金額の表」が改正されています。
併せて扶養控除等の対象となる親族の所得要件も10万円引き上げられたことから、新たに扶養控除の対象となる親族が出てくる可能性があります。会社の担当者は、該当者の有無を従業員に確認し、該当する場合は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けてください。
さらに、新たに「特定親族特別控除」が創設されました。一定の要件を満たす特定親族がいる場合、従業員の総所得金額から最大63万円を控除できる制度であり、適用を受けるには「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。これらの改正に対応するため、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」という新様式が導入されました。基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除を受けようとする方は、この書類を提出することになります。
実務上、年末調整事務は10月頃から始まりますが、本年は12月1日に法令が切り替わるという、非常にイレギュラーな対応が求められます。準備不足によるトラブルを避けるためにも、社内での制度周知、システム改修、体制整備を早めに行うことが重要です。
(参考) 「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」
国税庁レポート2025
国税庁は、令和7年6月30日に「国税庁レポート2025」をホームページで公表しました。これは、国税庁の1年間の取組みや成果をまとめた資料で、毎年公開されています。内容を読むことで、税務行政の方向性や重点課題が分かり、納税者にとっても参考になる情報が多数含まれています。
今年のレポートでは、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)」の推進が中心テーマとなっています。特に次の3点が柱とされています。
- 納税者の利便性の向上(スマホなどで手続きが可能となる環境の整備)
- 課税・徴収の効率化・高度化等(データやオンラインツールの積極的な活用)
- 事業者のデジタル化促進(事業者の経理業務の効率化、正確性及び生産性の向上)
さらに、令和8年9月に次世代システム(KSK2)の導入、同年には全税務署での内部事務センター化が予定されています。
注目すべき新たな取組みとしては、匿名化した税務データの研究者向け提供、会計から税務までのシームレス化の促進、SNSを活用した情報発信、税理士や事業者とのデジタル連携の強化などが挙げられています。
宿泊税の新設
令和7年7月22日、総務大臣は10市町村による宿泊税(法定外目的税)の新設に同意しました。該当自治体は、北海道旭川市、帯広市、函館市、富良野市、音更町、占冠村、青森県弘前市、岐阜県岐阜市、三重県鳥羽市、熊本県熊本市の10自治体です。
このうち、函館市、富良野市、占冠村では、宿泊料金に応じた段階的な課税を採用しますが、それ以外の自治体では、1人1泊あたり200円の定額で課税する予定です。
修学旅行の参加者や保育行事の児童・引率者などを免税対象とする自治体が多い一方で、鳥羽市や熊本市は免税措置を設けていません。また、岐阜市では12歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子どもも免税対象とするなど、対応が分かれています。
税収見込みは、熊本市が年間約7億円と最大で、鳥羽市や函館市も3億円を超える見通しです。小規模な自治体である占冠村や音更町においても、それぞれ約7千万円、9千万円の収入を見込んでいます。
宿泊税は、平成14(2002)年に東京都が初めて導入し、京都市、大阪府、福岡市・福岡県などでも導入が進められてきました。こうした流れを受け、今後も全国の観光都市で導入が広がることが予想されます。なお、既に導入している京都市では、令和8年3月1日以降の宿泊について、最大で1泊あたり1万円とする新税率の適用を予定しています。
※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
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