AI活用で変わる税務調査 ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル3月号】

2026年3月11日
○●———————
このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
———————●○
AI活用で変わる税務調査
国税庁は、令和6事務年度における所得税・消費税および法人税の税務調査状況を相次いで公表しました。両資料に共通する最大の特徴は、「AIを活用した調査対象の選定」です。従来の経験則や網羅的な抽出による税務調査から、データ分析に基づく税務調査へと大きく舵を切っています。
まず、個人分野では、所得税の調査等による追徴税額が1,431億円と過去最高を更新しました。実地調査に加え、「簡易な接触」を積極的に活用した結果、調査等の件数は73万6千件(前事務年度60万5千件)と前年から大幅に増加しています。分野別では、富裕層や海外投資を行う個人、インターネット取引を行う個人、消費税還付申告者、無申告者、所得税の不正還付者への調査が重点的に行われています。とりわけ暗号資産取引を行う個人への調査では、1件当たりの追徴税額が745万円と、所得税の実地調査に比べ2.5倍となっています。
また、個人事業者の消費税調査では、「簡易な接触」を通じた幅広い是正が行われ、調査等の件数は前年の1.5倍に増加しました。インボイス制度開始後の申告内容の適正性が重要な確認ポイントとなっているものと考えられます。
一方、法人分野でも同様の傾向が顕著です。法人税・消費税の実地調査件数は減少したものの、追徴税額は3,407億円と直近10年で最高値となりました。調査1件当たりの追徴税額も高水準で推移しており、調査対象の選定精度の向上が大きく貢献していることを示唆しています。
国税庁は、AIを活用した予測モデルにより不正の可能性が高い法人を抽出し、申告書や国税当局が保有する各種資料情報を組み合わせて総合的に分析した上で、最終的な判断は調査官が行う体制を構築しています。AIの分析結果に調査官の知見を加えることで、より効果的で精度の高い選定が可能となっています。
さらに、消費税還付申告法人、海外取引法人、無申告法人といった重点課題については厳正な調査を実施し、多額の追徴が行われています。加えて、法人の調査においても「簡易な接触」を通じて自発的な申告是正を促す取組が拡大しています。
個人・法人を問わず、AI活用が前提となった税務調査では、これまで調査対象になりにくかった納税者であっても、選定される可能性が高まっています。法定調書や取引先の申告内容との不整合がシステム上で把握され、データとして明らかになることで、税務調査において指摘される事例は今後ますます増加することが見込まれます。税理士や経理担当者には、日々の実務において税務調査を意識した記帳と適正な申告を行うことが、これまで以上に求められているといえるでしょう。
交際費等の範囲(贈答に係る送料)
国税庁のホームページに新たな質疑応答事例が追加され、交際費等の範囲に関する実務上の判断が示されました。今回の事例では、得意先への贈答に伴って発生する「送料」の取扱いが取り上げられています。
事例の内容は、法人が取引関係の円滑な進行を図る目的で、得意先であるA社の役員に贈答品を贈るというものです。この贈答行為自体は、租税特別措置法第61条の4第6項に規定する「接待等」に該当し、贈答品の購入費用は交際費等として処理されることが前提とされています。
ここで問題となったのは、贈答品を直接手渡しせず、運送会社を利用して引き渡した場合に発生する「送料」の取扱いです。これについて国税庁は、送料についても交際費等に該当することを示しました。その理由として、交際費等とは、得意先や仕入先など事業に関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のために支出する一切の費用を含むと定義されている点を挙げています。したがって、本件送料は贈答品の購入費用と同様に交際費等に該当するという結論が示されています。
STOP! 免税品転売
輸出物品販売場制度(免税店制度)は、外国人旅行者などの非居住者が日本国内で購入した物品を国外へ持ち帰る場合、一定の手続きを行うことで消費税が免除される制度です。国外へ持ち出す物品は実質的に「輸出」と同様に扱われるという考え方に基づいています。
免税店には、街中の百貨店や小売店などに設置される「TAX FREE SHOP(輸出物品販売場)」と、国際空港の出国後エリアにある「DUTY FREE SHOP」がありますが、近年、TAX FREE SHOPにおいて免税購入された物品が国外へ持ち出されず、日本国内で転売されていると疑われる事例が多発しています。出国時に免税購入品を所持していない外国人旅行者を把握し、消費税を徴収しようとしても、実際には滞納となるケースが多く、制度の適正な運用が損なわれかねない状況となっています。こうした事態を受け、国税・税関では、免税要件を満たさない不適切な免税販売や国内での転売について、厳正に対応する方針です。不正に免税購入した者だけでなく、免税購入者を募集したり、購入店舗を指示したりするブローカーなどについても、積極的に取り締まるとしています。
なお、免税購入した物品を出国前に譲渡または消費した場合には消費税が課されます。また、出国前に譲渡した場合には1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金といった罰則が科される可能性があります。令和8年11月からは、出国時に免税購入品の持ち出しを確認した後に返金する「リファンド方式」に移行する予定です。
![]()
※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
\会計事務所の皆さまへ/
マネジメント倶楽部デジタルで、
このような連載コラムを顧問先にお届けすることができます!
マネジメント倶楽部デジタルの‟ココがおすすめ!”
- 無料でお届けすることができます(有料プランもございます)。
- 顧問先への継続的なコミュニケーションツールとしてもぴったり!
- 中小企業の経営情報などが掲載されており、顧問先との話題作りとしても。
マジメント倶楽部デジタルの‟ココが安心!”
- マネジメント倶楽部デジタルの掲載記事は、税務研究会が監修しています。
- マネジメント倶楽部は紙版で刊行された1997年10月以来、多くの経営者様にご愛読いただいています。
- 顧問先の数やご予算などに応じて、最適なプランをお選びいただけます。
__今月末までのお申込みで、次月よりご利用スタート!
\まずは気軽に始められる「無料プラン」を是非お試しください!/















