相続財産を譲渡した場合のポイント
[アクタス税理士法人 News Letter(資産税)]

相続財産を譲渡した場合のポイント[News Letter(資産税)

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不動産等を譲渡し、譲渡所得が発生した場合には、その翌年の 3 月 15 日までに確定申告をして所得税を納める必要があります。その譲渡した財産が、相続等により取得したものである場合には、被相続人の取得時期や取得費を引き継ぐほか、相続税の一部を取得費に加算できる特例など、特有の税務上の取り扱いがあります。今回は、相続財産を譲渡した場合における譲渡所得税の取り扱いについてご紹介します。

 

 

■相続財産を譲渡した場合の譲渡所得税の計算

譲渡所得における所得税の金額は、次のように計算します。

●取得費

相続財産については、被相続人が支出した取得価額を承継した上で取得費の計算を行います。取得費には、被相続人が支出した購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。その財産が先祖代々受け継いできた土地など長期の所有であった場合には、取得した際の契約書等が消失しているなど取得費が不明なケースもあります。そのような場合には、「概算取得費の特例」として、売却価格の5%相当額を取得費とすることが認められています。

●取得費加算の特例

相続や遺贈により取得した財産は、以下の要件を満たした場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。なお、相続時精算課税制度により取得した場合や相続開始前 7 年以内に暦年贈与された場合も対象となります。

【適用要件】

  • 相続や遺贈により財産を取得した人であること
  • その財産を取得した人が相続税を納めていること
  • その財産を相続開始から 3 年 10 か月以内に譲渡していること

【他の特例との併用】

「概算取得費の特例」、「居住用財産を譲渡した場合の 3,000 万円の特別控除」、「特定の居住用財産の買換え特例」など、他の特例と併用することが可能です。ただし、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」は併用できないため注意が必要です。

 

 

■相続財産を譲渡した場合における所得区分と税率

●譲渡所得の区分

譲渡所得は、取得した日から譲渡した年の 1 月 1 日までの所有期間が5 年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、5 年を超える場合には「長期譲渡所得」に区分されます。

相続や遺贈により取得した財産を譲渡した場合の取得日は、被相続人が取得した日をそのまま相続人に引き継ぐものとされています。そのため、被相続人が取得した日から相続人が譲渡した年の 1 月 1 日までの所有期間で譲渡所得の区分を判定します。

●譲渡所得の区分

不動産を譲渡した場合の所得税と住民税の税率は、「短期譲渡所得」に該当するか「長期譲渡所得」に該当するかによって異なります。

※基準となる所得税額に 2.1%を乗じて計算した復興特別所得税を含めて申告納付する必要があります。

 

 

 

 

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