貸付用不動産の評価方法の見直しについて
[アクタス税理士法人 News Letter2025.12]
2025/12/24
貸付用不動産の評価方法の見直しについて[News Letter]
令和8年度与党税制改正大綱が令和7年12月19日に発表されました。資産税関係では、貸付用不動産の評価方法の見直しが織り込まれました。貸付用不動産は、相続税評価額と市場価格とのかい離を利用して相続税等の圧縮が行われている現状に鑑み、「相続等の直前に取得した貸付用不動産」や「不動産小口化商品」について評価方法を見直す内容になっております。今回はこの改正の内容についてご紹介します。
■現行の貸付用不動産の相続税評価方法
土地の相続税評価額は路線価等により算定され、路線価等は一般的には市場価格よりも低く設定されています。貸付用不動産は所有者の権利が制限されることから、貸付用不動産の相続税評価額を計算する際には、借家権割合や借地権割合を考慮した評価額の減額の調整が行われます。

※1 借家権割合は建物の借主がその建物を使う権利の割合のことをいいます。全国一律30%となっています。
※2 賃貸割合は建物の延床面積のうち賃貸に使用されている割合をいいます。すべて賃貸している場合には100%となります。
※3 借地権割合は土地を借りて使う権利がどのくらいの割合になるか地域によって定められています。借地権割合は30~90%の間で定められており、国税庁が公表している路線価図より確認することが出来ます。
■貸付用不動産の評価方法の見直しの背景
相続開始直前に貸付用不動産を購入して、相続税を意図的に減額しているとみられる事例がこれまで散見され、これらの事例に国税庁は著しく不適当な評価であると判断し、現行の評価方法での評価額が認められない事態が起きていました。納税者側は現行の評価方法に則って評価額を算出していたため、評価制度自体の改正が必要だとの声が上がっていました。こうした背景から、納税者の財産評価額を予測できるように確保しつつ評価の適正化と課税の公平性を図るために、貸付用不動産の評価方法が見直されることとなりました。
■令和8年度税制改正大綱による貸付用不動産の相続税評価方法
●相続等の直前に取得した貸付用不動産について
相続開始前や贈与前の5年以内に有償で取得又は新築した一定の貸付用不動産について、取得時期に応じて評価方法を下記の通り改正されることとなりました。令和8年度税制改正大綱では、この評価方法の見直しの適用時期については、令和9年1月1日以後に相続や贈与により取得をする財産の評価に適用されることとなっております。

※1 減価償却(定額法)による減価を反映するなど、各不動産の実態に即して評価します。
※2 取得価額を基に評価額を算定する場合には、原則、取得時から課税時期までの地価変動の影響等を加味するとともに、評価の安全性を考慮(しんしゃく割合「0.8」)することで検討されています。
●不動産小口化商品について
不動産小口化商品は、高額な不動産を少額に分割し、複数の投資家が共同で投資する仕組みの商品であり、賃料収入や売却益が、出資額に応じて投資家に分配されます。商品として運用されている貸付用不動産を路線価等によって評価することにより、取得価額と相続税評価額との間にかい離が存在していました。相続等の直前に取得した貸付用不動産の評価方法の見直しに伴い、一定の不動産小口化商品について、取得時期にかかわらず、通常の取引価額に相当する金額によって評価することとなりました。不動産小口化商品の評価方法の見直しについても令和9年1月1日以後に相続や贈与により取得をする財産の評価に適用されることとなっております。
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