個人所有の賃貸不動産に係る税務ポイント
[アクタス税理士法人 News Letter2026.3]
2026/03/27
個人所有の賃貸不動産に係る税務ポイント[News Letter]
令和8年3月に発表された令和8年の地価公示では全国地価平均は5年連続で上昇し、不動産への関心が続いています。こうした中、個人で賃貸不動産を取得し運用する際には、取得時・保有時・売却時ごとに税務上の確認すべきポイントがあります。 今回は、各場面で押さえておきたい基本的な税務のポイントを解説します。
■取得時の税務のポイント
●取得時の消費税について
不動産賃貸業を行う場合、不動産取得時に支払った建物などの消費税は原則的に仕入税額控除の対象となります。ただし、国内において行う居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額は仕入税額控除の対象になりません。居住用賃貸建物とは、住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物以外の建物で、税抜金額が1,000万円以上のもの(高額特定資産や調整対象自己建設高額資産に該当するもの)です。なお、居住用賃貸建物の課税仕入れの後、原則3年以内に譲渡した場合などには、一定の調整計算を行います。
●取得時に発生する税金について
不動産の取得時には、不動産取得税や登録免許税などの負担が発生します。

■保有時の税務のポイント
土地や建物などの不動産の貸付け等による所得は所得税上の不動産所得に該当します。
●不動産所得の計算について
不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

●減価償却費の計算について
減価償却費は、建物やその付属設備などの資産の種類ごと、取得価額と耐用年数をもとに計算します。取得価額は、購入代金と仲介手数料や登記関連費用、取得時の税金などの付随費用等の合計額です。耐用年数は、資産の用途と構造によって償却する年数が決められており、例えば、住宅用の鉄骨鉄筋コンクリート造りの建物については47年、住宅用の木造の建物は22年で減価償却費を計算します。
●修繕費と資本的支出について
不動産の保有の際に、修繕などの費用が発生しますが、税務上は修繕費と資本的支出に分類されます。修繕費となるものは必要経費に算入され、資本的支出となるものは、資産として取り扱い、減価償却費計算の対象となります。なお、資本的支出の金額が20万円未満のもの、または資本的支出がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが明らかである場合は修繕費として認められます。

●保有時の消費税について
保有時の消費税は、対象となる不動産の貸付区分によって課税対象となるかどうかが異なります。

●不動産所得の損益通算について
不動産所得は、給与所得、一時所得、雑所得など各種の所得金額を合計し、その合計所得金額が増えるほど高い税率が課される超過累進税率で計算される総合課税の対象となります。
不動産所得で赤字(損失)が発生したときには、原則として給与所得などの他の総合所得の黒字と損益通算(相殺すること)が可能な所得です。ただし、不動産所得の金額の損失のうち、別荘等のように娯楽等の目的等で所有する不動産の貸付に係る損失や、土地等を取得するために借りた借入金の利子は損益通算の対象となりません。
●事業的規模の判定と取扱いの違い
不動産所得を計算するにあたっては、その不動産賃貸事業の規模が事業的な規模で行われているかどうかによって次のように取り扱いが異なります。なお、事業的規模の判定については、原則として独立家屋が5棟以上または独立した室数が10室以上を基準に判定します。

■売却時の税務のポイント
土地や建物などの資産を譲渡することによって生ずる所得を譲渡所得といいます。
●譲渡所得の計算について
譲渡所得は、譲渡収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

●譲渡所得の計算上のポイント
譲渡所得は、総合課税の不動産所得とは異なり、他の所得金額と合計せず、それだけを分離して税額を計算する分離課税となります。また、土地や建物の譲渡損失が生じた場合、原則として同じ年に他の土地や建物の譲渡所得がある場合には損益通算が可能ですが、不動産所得の赤字の時のように、給与所得や不動産所得など他の所得との損益通算は原則できません。
●不動産の所有期間による税率の違い
不動産の譲渡所得は、その不動産の所有期間によって適用される税率に違いがあります。なお、所有期間の判定は、購入した日から「売却年の1月1日時点」までの所有期間で行われます。なお、相続や贈与で取得した不動産は、自分がもらった日ではなく、被相続人や贈与者が取得した時期を引き継いで判定します。

●売却時の消費税について
売却時の消費税の取扱いは、対象となる不動産の資産区分によって課税対象となるかどうかが異なります。売却資産の区分が建物や償却対象の資産の場合は10%の課税取引、売却資産の区分が借地権や土地などについては非課税取引となります。
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