Sansan、「インボイス制度対応の実態調査」を実施
~制度開始から3か月、いまだ3分の1以上の企業で課題。対応が順調な企業は「従業員周知」と「業務デジタル化」に注力~
2024/02/01
働き方を変えるDXサービスを提供するSansan株式会社は、インボイス管理サービス「Bill One」が、請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソン(経理部門:700名、経理以外の部門:300名)を対象に「インボイス制度対応の実態調査」を実施したことを発表します。
調査の結果、制度開始後3か月が経過したにもかかわらず、いまだ3分の1以上の担当者が制度対応に課題を抱えていることが判明しました。課題を抱えている企業では、経理は一人あたり月平均8.5時間、経理以外の部門では9.0時間の業務時間が増えており、全社的な業務工数の増加が引き続き課題となっていました。
一方、順調に対応できている企業では、従業員に対する制度の説明・周知や、経理業務のデジタル化に取り組んでいることが分かりました。
■調査結果サマリ
●インボイス制度開始から3か月。いまだ3分の1の企業が制度対応に課題を抱えている
●対応に課題を抱える企業では、経理は一人あたり月8.5時間、非経理は一人あたり月9.0時間の業務増
●順調に対応できている企業では「従業員への説明・周知」「経理業務のデジタル化」に取り組んでいる
●順調に対応できている大企業が取り組んだことの最多は「経理業務のデジタル化」
●経理業務をデジタル化したメリットは「請求書を探しやすくなり生産性向上」「紙のコストを削減できた」
■調査の背景
2023年10月に開始したインボイス制度では、受け取った請求書が「適格請求書」の要件を満たしていない場合、原則仕入税額控除の適用を受けられないため、企業は制度を正しく理解して対応する必要があります。制度開始から3か月が経過した今、企業は制度対応にどのように対応しているのか、その実態を明らかにするため「インボイス制度対応の実態調査」を実施しました。
■調査の結果
●インボイス制度開始から3か月。いまだ3分の1の企業が制度対応に課題を抱えている
請求書関連業務に携わる1000名に対して、2024年1月時点でのインボイス制度への対応状況を聞いたところ、「問題なく対応できている」と答えた人は66.4%、「課題が発生している」と答えた人は33.6%という結果でした。制度開始から3か月が経過したものの、いまだ3分の1以上の担当者が対応に課題を抱えていることが分かりました。
●対応に課題を抱える企業では、経理は一人あたり月8.5時間、非経理は一人あたり月9.0時間の業務増
インボイス制度対応で課題が発生していると回答した人に、制度対応に伴う業務増加時間を聞いたところ、経理部門では一人あたり月平均8.5時間でした。また、経理以外の部門では一人あたり月平均9.0時間で、経理部門をやや上回る結果となりました。インボイス制度開始から3か月が経過したものの、請求書業務に不慣れな非経理部門での混乱が続いていることが判明しました。
また、制度対応で作業時間が増えた項目を経理担当者に聞いたところ、第一位は「適格請求書の要件を満たすかどうかの確認」(64.8%)、第二位は「不備があった場合の修正対応」(63.4%)でした。
●順調に対応できている企業では「従業員への説明・周知」「経理業務のデジタル化」に取り組んでいる
一方、インボイス制度に問題なく対応できていると回答した人に、円滑に対応するために取り組んだことを聞いたところ、最も多かったのは「従業員へのインボイス制度に関する説明・周知」(36,3%)、続いて、外部サービスの導入などによる「経理業務のデジタル化」(35.3%)でした。
●順調に対応できている大企業が取り組んだことの最多は「経理業務のデジタル化」
各社の取り組みは企業規模によって異なり、従業員数1,001名以上の企業は「経理業務のデジタル化」、従業員数101名~1,000名の企業は「従業員への説明・周知」、従業員数100名以下は「顧問税理士など外部からのアドバイスをもらう」が最多でした。従業員が多い企業ではシステムを導入するなどして業務のデジタル化を図っている一方、従業員100名以下の企業では経理業務を顧問税理士に委託しているケースも多いことが読み取れます。
また、円滑に対応するための具体的な取り組みとして、「社内勉強会を開催、Q&Aサイトを設置(IT・情報通信、)」や「二重チェックの体制を作り判定の強化を図った(公共機関・非営利団体)」、「社員への周知徹底を行い、間違えているものは申請者自身に修正対応をしてもらう事で意識を高めてもらっている(製造・メーカー)」など、各社でさまざまな工夫を行っていることが分かりました。また、「受け取った請求書を自動判定するサービスを導入して確認作業を自動化した(運輸・物流)」など、外部サービスを導入した人も多く見受けられました。
●経理業務をデジタル化したメリットは「請求書を探しやすくなり生産性向上」「紙のコストを削減できた」
インボイス制度を機に経理業務をデジタル化した企業に、デジタル化して最もメリットを感じたことは何かを聞いたところ、同率一位は「請求書の検索や管理がしやすくなり生産性が向上した」と「紙の用紙代や印刷代などのコストが減った」(ともに14.1%)でした。そのほかにも「郵送や開封などの紙の作業が減り業務効率化につながった」(13.0%)や「人的ミスが減り正確性が向上した」(12.3%)、「テレワークなど働き方が柔軟になった」(12.0)などが挙げられました。
メリットを感じた具体的なエピソードとしては、「受け取った請求書を保存するための製本作業が減った(IT・情報通信)」や「紙が減ったことにより打ち合わせスペースが広くなった(卸・商社)」など、ペーパーレス化により時間やスペースを有効活用できるようになったという声が多数でした。ほかにも「請求書を紛失する心配がない(旅行・宿泊)」や、「郵送で届いていた書類がメールで早く届くので、請求処理の締切日まで余裕ができるようになった(建設・不動産)」といったコメントも寄せられました。
■Sansan株式会社 Bill One事業部 チーフプロダクトマーケティングマネジャー 柘植 朋美のコメント
本調査では、インボイス制度開始から3か月が経過した今でも、3割以上の企業では制度対応に課題を抱えていることが分かりました。また、課題を抱えている企業と順調に対応できている企業の違いも明らかになりました。
インボイス制度対応により、経理の業務時間が一人あたり月8.5時間、経理以外の部門では一人あたり月9.0時間の業務が増えており、引き続き全社的な負担を感じている企業が多いと言えるでしょう。これまでは「インボイス制度にとにかく対応する」ことを最優先として、各社でなんとか工夫して対応を図ってきたことと思います。これからは、今後も毎月発生し続けるインボイス対応を「どのように効率化していくか」という視点で、経理部門だけでなく全社の業務フローを改めて見直すことが重要になると思います。
業務負荷の増大に注目されがちな法制度対応ですが、これ機に業務フローを見直して経理業務のDXを推進し、生産性向上やコスト削減を実現している企業もあります。Bill Oneでは、紙や電子など形式を問わず請求書を受領でき、適格請求書の自動判定も可能です(※1)。こうした外部サービスの活用も視野に入れながら、自社に合った対応フローを検討していただけたらと思います。
当社では、多くの企業がより負担なくインボイス制度に対応し、業務効率化や月次決算の加速、全社の意思決定の迅速化といった効果を感じられるよう、引き続きプロダクト開発やサポートを行っていきます。
■調査概要
調 査 名:インボイス制度対応の実態調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査対象:請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン1000名
(経理部門700名、経理以外の部門300名)
※請求書を取り扱う業務とは、請求書の受け取り、振り分け、内容確認、支払い申請、支払い承認、経理部門への請求書提出、請求書の仕訳入力、支払いの実施、請求書の保管などを指します。
調査期間:2024年1月17日~2024年1月18日
調査企画:Sansan株式会社
※1:Sansan株式会社「Bill Oneに『適格請求書判定機能』を追加」(2023年8月28日発表)
https://jp.corp-sansan.com/news/2023/0828.html
(以上)