第205回 被災資産に係る補強工事等の取扱い ~資本的支出と修繕費の区分~

■被災資産に係る特有の問題
地震や台風などの災害により損壊等の被害を受けた資産(以下、「被災資産」)について、原状を回復するために支出した費用は当然に修繕費になります。

一方、被災資産について行われる補強工事等のための費用については、資本的支出と修繕費の区分に係る特有の問題が生じ得ます。すなわち、被災資産に対する補強工事等は、同規模の災害の発生を想定し被災資産の崩壊等の被害を防止するためのものであるなど、被災資産の被災前の効用を維持するために行われるものであることから、資本的支出の概念である使用可能期間の延長やその資産の価値を増加させるものと必ずしも断定できないものが多いと考えられます。そこで、法人税基本通達7-8-6において、以下に説明する災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例が設けられています。

■被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事等のための費用の取扱い
被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止等のために支出した費用について、法人が修繕費とする経理をしているときは、これを認めるとされています。

例えば地震による災害が発生し、それに対して補強工事等を行う場合は、二次災害の防止も視野に入れたうえで、同規模の地震または余震の発生を想定し、被災資産の崩壊等の被害を防止するためのものであるなど、被災資産の被災前の効用を維持するために行うものですから、使用可能期間の延長やその資産の価値を増加させるものと断定できないものが多いと考えられます。そこで、被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止等のために支出した費用は、法人が修繕費とする経理をしているときは、修繕費として認められるものとされています。

■資本的支出が含まれる場合の取扱い
上記のように、復旧のための工事等のための費用は全額修繕費になりますが、用途変更などの資本的支出に該当する工事が併せて行われる場合の取扱いが問題となります。修繕費の部分と資本的支出の部分を合理的に区分できないこともあり得るからです。

そこで、被災資産について支出した費用(原状回復のための費用および上記の被災前の効用を維持するために行う補強工事等のための費用を除く)の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合において、法人が、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認めるものとされています。この取扱いにより、実務上の問題は解決できると考えられます。

なお、単体で効用を有する施設(例えば、防災対策のための施設)を新設する場合は、新たな資産の取得として取り扱うことになります。修繕費として処理できる復旧費用なのか、新たな資産の取得のための費用なのかは、資産の種類ごとに、かつ、構造・機能が一体となっているものごとに判定することになります。建物の場合には1棟ごと、機械装置の場合には1台または1基ごと、工具、器具及び備品の場合には1個、1組または1そろいごとに判定します。