2019/01/01 9:00
■適格請求書の記載事項
平成35(2023)年10月1日以後に導入される予定の適格請求書等保存方式の下では、所定の記載事項が満たされた適格請求書の保存がないと、原則として、仕入税額控除ができないものとされます。適格請求書の記載事項は、次のとおりです。
適格請求書の記載事項
① 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号 |
(注)現行の請求書と比較すると、①、③、④および⑤の下線部分が追加事項になります。
■口座振替・口座振込の場合
契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引であっても、仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となります。 この点、適格請求書は、一定期間の取引をまとめて交付することも可能ですので、相手方から一定期間の取引についての適格請求書(領収書でも所定の記載事項が満たされておればOK)の交付を受け、それを保存することによる対応も可能です。
なお、適格請求書として必要な記載事項は、一の書類だけですべてが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体で適格請求書の記載事項を満たすことになります。例えば、契約書に上記②の取引年月日以外の適格請求書として必要な記載事項が記載されており、その契約書とともに取引年月日を証明するものとして通帳や銀行の振込金受取書を保存することにより、全体として必要な記載事項がカバーされているのであれば、仕入税額控除の要件を満たすことになります。
■税理士の顧問料にも注意が必要
税理士が受け取る顧問料が、顧問先において仕入税額控除の対象になるのかどうかが問題になります。税理士の顧問料については、(株)日税ビジネスサービスの口座振替が利用されている場合が多いようです。この場合に、平成35(2023)年10月1日以後においては、税理士が適格請求書発行事業者としての登録をすでに受けており、先に説明したように、一定期間の顧問料についてまとめて適格請求書の記載事項を満たした領収書を発行するか、あるいは、顧問契約書を改定し、取引年月日以外の記載事項を契約書に盛り込んで、取引年月日について通帳の保存を行う方法により、顧問先において仕入税額控除を行うことが可能になると考えられます。