2018/01/08 9:00
相次相続控除とはどのような制度ですか。
相続による財産移転時には、相続税が課税されます。しかし、相続の時(1次相続)から次の相続(2次相続)までが短期間の場合には、その期間が長期間であった者と比べ相続税の負担に差異が生じることもあります。そのような負担額の差異調整のため、10年以内に2回以上相続が発生し、相続税が課された場合には、1次相続時に納税した相続税の一部を、2次相続時の相続税から控除する仕組みが設けられています。この仕組みを相次相続控除といいます。
この相次相続控除の適用要件は、以下になります。
1.適用対象者が相続人であること 2.1次相続と2次相続の期間が10年以内であること 3.2次相続における被相続人が、1次相続により財産を取得し、相続税が課税されたこと |
相次相続控除の控除額はどのように計算されますか。
相次相続控除額は、以下の算式で計算します。
A:2次相続における被相続人が、1次相続で課された相続税額 B: 2次相続における被相続人が、1次相続により取得した財産額(債務控除後) C: 2次相続の相続財産総額(債務控除後) D: 相次相続控除の対象者が、2次相続で取得した財産額(債務控除後) E: 1次相続開始から2次相続開始までの年数(1年未満切り捨て) |
まず、1次相続で課された相続税のうち、2次相続で残っている財産に係る金額を計算します(1)。計算式の分母は、税引後の財産額で計算するためです。
次に、(1)のうち、2次相続で、相次相続控除の対象者が相続する部分を計算します(2)。
最後に、経過年数による控除割合を乗じる、という構成です(3)。
具体例で検討すると以下のようになります。
(事例) ・父から子に相続が発生し、父の相続財産総額は6千万円であり、長男が相続するのは4千万円。 ・父死亡の5年3月前に祖父から父に相続が発生。祖父から父が相続した財産は8千万円であり、父は1千万円の相続税を納めていた。 (相次相続控除額の計算) |
なお、算式のA(1次相続で課された相続税額)がない場合には、相次相続控除が適用できません。したがって、父が亡くなり、その財産をその配偶者が相続し、その後、短期間で配偶者が亡くなった場合には、注意が必要です。
1次相続では、配偶者の税額軽減を適用するケースが多いですが、その場合、相続税の納税額が発生しない、若しくは発生しても少額になります。そのため、短期間で2次相続が発生した場合には、相次相続控除が適正にワークしないため、1次・2次相続を合わせた納税額が多くなることも考えられます。
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ショウ・ウィンドウ 相次相続控除と相続放棄
No.3489(平成30年1月8日号)68頁