個人事業主からの団体交渉申し入れの問題

 昨今、個人事業主が発注者に対して団体交渉を申し入れるという案件が増えています。

 img_jitsumu_0038.jpg労組法上の団体交渉の保護が及ぶのは、労組法上の労働者のみですので、当該個人事業主が労組法上の労働者に該当するか否かが問題となります

 昨年には、株式会社セブン-イレブン・ジャパン(以下「セブンイレブン」という。)とフランチャイズ契約を締結している加盟店主がセブンイレブンに対して団体交渉を申し入れたという案件について、労組法上の労働者であるとして、団交を命じる労働委員会の救済命令が出されました(岡山労働委員会平成26年3月13日命令)。

 同事件でセブンイレブン側は、加盟店主は独立した事業主であるから労組法上の労働者には該当しないと主張しましたが、岡山労働委員会は、独立した事業主であることは認めたものの、それによって、ただちに労組法上の労働者性が否定されるわけではないとし、結論として、加盟店主は労組法上の労働者に該当するとしました。

 

 それでは、どのような場合に労組法上の労働者と認められるのでしょうか。

 以前は、労組法上の労働者性の判断基準・考え方について、行政の判断と司法の判断が分かれることが多々あり、混迷していましたが、現在、事例判断ではあるものの最高裁判決の判断が示されたことにより、一定の結論が出たものと考えられています。

 それによれば、労組法上の労働者性は以下の要素によって判断されることになります。
・事業組織への組み入れ(労務供給者が業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されていること)
・契約内容の一方的決定
・報酬の労務対価性
・仕事の依頼に応ずべき関係
・指揮監督下の労務提供
・時間的場所的拘束性
・事業者性(労働者性を否定する方向で働く消極的要素)

 労働者性は、労組法以外に、労基法の場合も問題となります。労基法上の労働者性とは、労基法の適用があるか否かという問題です。これに対して、労組法上の労働者性は、団体交渉の保護が及ぶかどうかという問題となります。労基法は、労働条件の最低基準について強行的に定め、罰則をもって規律していますが、労組法はこれと異なり、労使間の団体交渉を助成するという目的を中核としていることから、保護の対象となる労働者の範囲は、労組法の方がより広く認められると解されています。

 したがって、労組法上の労働者性に関する上記各要素は、労基法上の労働者性の判断基準よりも緩やかに認められると考えられています。

 現在では、最高裁の判断が示されたこと等により、労組法上の労働者性の判断要素が明確になりました。大企業やIT企業などでは、個人事業主を労働力として活用している例も多いので、今後は、労働組合を結成され、あるいは合同労組に加盟されるなどして、その対応を迫られる事態も考えられます。外注しているから労務管理のコストが掛からないとは必ずしも言えなくなる可能性があるので、企業としては、実務の動向を踏まえた細心の対応が必要になるでしょう。

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