資本剰余金の配当と利益剰余金の配当|税務通信 No.3491

No.3491
(平成30年1月22日号)4頁

裁判例・裁決例 剰余金の配当の取扱いを巡る事件で国敗訴

Q1

 資本剰余金の配当と利益剰余金の配当で、税務上の取扱いが違うのはなぜですか。


A1

 会計上の剰余金を配当した場合、その配当の原資によって、税務上の取扱いが異なります。

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 配当原始に着目するのであれば、資本剰余金の配当は、全額を資本の払い戻し(資本金等の減少)とすべきです。しかし、実際には、資本の払い戻し部分と利益の払い戻し部分を分配したとする課税関係になっています。

 この理由は、自己株式の取得における課税関係と平仄を取ったため、と思われます。

 株主から自社が発行した株式を買い取る自己株式の取得は、株主への資本の払い戻し行為です。売却する株主側では、保有していた株式に関する完全な精算行為と言えます。つまり、株式を手放し、出資していた資本と獲得利益の分配を受けることになります。この資本の払い戻し部分と利益の払い戻し部分を計算するため、以下の算式により資本の払い戻し部分を計算します。株数での按分計算です。

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 一方で、資本剰余金の配当も、法制上は、資本の払い戻し行為です。経済的効果が同じである取引であれば、課税関係を揃えるのは税法の大原則ですから、資本剰余金の配当も、資本の払い戻し部分と利益の払い戻し部分の分配、と整理されているのです。

 ただし、剰余金の配当では、株主の保有株数に変動がないため、自己株式取得のように株数での按分計算ができません。そこで、純資産に占める割合で計算する以下の算式を採用しており、自己株式取得における資本の払い戻し部分の計算式とは、異なっています。

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