第218回 DX投資促進税制の創設~令和3年度税制改正大綱で明らかに~

■DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
 DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を最近よく耳にします。経済産業省が2018年12月にまとめた「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」では、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
 デジタルを活用した企業の変革という意味であり、生産性の向上を図る上で、企業経営における重要な課題であると考えられています。

■DX投資促進税制の創設
 DX投資促進税制の適用を受けるためには、今後改正される産業競争力強化法に基づいて、「事業適応計画」の認定を受けることが必要です。部門・拠点ごとではない全社レベルのDXに向けた計画であることが必要です。
 令和3年度税制改正により創設予定の「DX投資促進税制」は、新規ビジネスの構築等に関する「事業適応計画」に沿って実施されるクラウドの利用、レガシーシステムからの脱却、サイバーセキュリティといった点が確保された「事業変革デジタル投資」を促進させることを目的とした特例税制です。
 具体的には、青色申告書を提出する法人で、産業競争力強化法上の事業適応計画の認定を受けたものが、同法の改正法の施行日から令和5年3月31日までの間に、その計画に従って実施される産業競争力強化法の事業適応の用に供するためにソフトウエアの新設もしくは増設等をし、またはその事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る)(注)の支出をしたときは、取得価額の30%の特別償却または取得価額の3%(グループ外の事業者とデータ連携をする場合は、5%)の税額控除のいずれかを選択適用できるとする内容です(投資額の下限は売上高比0.1%以上、上限は300億円)。

(注)クラウドシステムへの移行に係る初期費用

 税額控除の上限は、令和3年度税制改正により創設予定のカーボンニュートラル投資促進税制と合わせて、当期の法人税額の20%とされます。
 対象となる設備としては、上記のソフトウエアや繰延資産のほかに、それらと連携して使用する機械装置および器具備品も含まれますが、開発研究用資産を除きます。

■認定の要件
 「事業適応計画」の認定に係る要件が問題となりますが、次の①デジタル要件および②企業変革要件の2つを満たすことが必要とされます。

デジタル要件 ・ データ連携・共有(他の法人等が有するデータまたは事業者がセンサー等を利用して新たに取得するデータと内部データとを合わせて連携すること)
・ クラウド技術の活用
・ 情報処理推進機構が審査する「DX認定」の取得(レガシー回避・サイバーセキュリティ等の確保)
企業変革要件 ・ 全社の意思決定に基づくものであること(取締役会等の決議文書添付等)
・ 一定以上の生産性向上などが見込まれること等

詳しくは、今後の産業競争力強化法の改正内容をご参照ください。

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