2016/02/15 9:00
売上税額の計算特例は、基準期間における課税売上高により適用期間が異なるそうですが、この「基準期間における課税売上高」とは、いつの期間の売上高ですか。
基準期間における課税売上高を理解するためには、「基準期間」と「課税売上高」という2つのキーワードを押さえる必要があります。
1.基準期間とは
基準期間とは、法人では原則として前々事業年度をいいます。
例えば、当期がX4年3月期だとすると、前々事業年度のX2年3月期が基準期間になります。
ただし、事業年度が1年でない法人や決算期を変更したこと等により、前々事業年度が1年に満たないような場合には、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から、同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間を基準期間といいます。
例えば、もともと1月決算だった法人が、9月決算、12月決算、3月決算と短期間に決算期の変更を繰り返したとします。当期がX4年3月期だとすると、前々事業年度のX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)ですが、X2年3月期は3か月間ですので「1年に満たない場合」に該当します。この場合の基準期間は、当期の開始日(X3.4.1)の2年前の日(X1.4.2)の前日(X1.4.1)から、同日(X1.4.1)以後1年を経過する日(X2.3.31)までに開始した各事業年度(X1年12月期とX2年3月期...図の斜線の事業年度)を合わせた期間(3か月+3か月=6か月)をいいます。
2.課税売上高とは
課税売上高とは、8%の消費税が課される売上高と消費税が免除される輸出取引等に係る売上高の合計額から、売上に係る対価の返還等(返品・値引き等)の金額を差し引いた金額をいいます。
基準期間が1年でない法人の基準期間の課税売上高は、その基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額をいいます。例えば、先ほどのケースでは基準期間(X1年12月期とX2年3月期)は6か月ですので、この2期分の課税売上高の合計額を6月で除して12月を乗じた金額が、基準期間における課税売上高となります。
本誌関連ページ
展望 「軽減税率 2月決算や12月決算等の中小以外の事業者は売上税額の計算特例も2期分適用可能」
No.3396 (2016年2月15日号) 1頁