103万円の壁|No.3446

No.3446
(平成29年2月20日号)1頁

展望 改正配偶者控除 所得制限措置で源泉実務に影響・早めの対応が必須

Q1

 平成29年度税制改正では、103万円の壁を取り払う目的で配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われます。103万円の壁の「103万円」とは、具体的にどのように計算しているのでしょうか。


A1

 103万円の壁の「103万円」は、配偶者控除の適用を受けることができる配偶者の給与収入の上限をいい、合計所得金額38万円と給与所得控除額65万円の合計額から計算されています。

1.配偶者控除の対象となる「控除対象配偶者」とは ... 平成29年度改正前
 居住者(以下、簡便的に「夫」とします。)と生計を一にする配偶者(以下、簡便的に「妻」とします。)のうち、年間の合計所得金額が38万円以下の者を「控除対象配偶者」といいます。妻が控除対象配偶者に該当する場合には、夫の所得税の計算において、妻が70歳未満である場合には38万円、70歳以上である場合には48万円の所得控除の適用を受けることができます。

2.合計所得金額とは
 合計所得金額とは、妻がパートタイマー等の給与所得者である場合には、その年の給与の収入金額から給与所得控除額を控除した金額をいいます。給与所得控除額は、給与の収入金額に応じて、次のように計算します。

<給与所得控除額の計算> ... 平成28年分

給与等の収入金額 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
(算出した金額が650,000円に満たない場合には650,000円)
1,800,000円超            3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超            6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超            10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超            12,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超 2,300,000円(上限)



 給与所得控除額の最低額が65万円であるため、この65万円に控除対象配偶者の要件である合計所得金額の38万円を加算した103万円が、夫の所得税の計算において配偶者控除の適用を受けることができる妻の給与収入の上限額となります。これが「103万円の壁」と呼ばれるものです。

3.改正後の壁は150万円
 平成29年度改正後も、配偶者控除の対象となる配偶者の合計所得金額は38万円以下であることに変更はありません。ただし、妻の合計所得金額が38万円を超えた場合に適用される「配偶者特別控除」のうち38万円(満額)の控除の対象となる配偶者の合計所得金額が、次のように改正されています。

<配偶者特別控除で38万円の控除対象となる配偶者の合計所得金額>

改正前 改正後
38万円超 40万円未満 38万円超 85万円以下



 平成29年度改正後は、妻の給与収入が給与所得控除額の65万円に合計所得金額の85万円を加算した150万円以下であれば、夫の所得税の計算において「配偶者特別控除」として38万円の所得控除の適用が受けられることになりました。103万円の壁はなくなり、その代わりに150万円の壁があらたにできたといえます。


メルマガ登録で実務に役立つ税務コラムが毎月読めます。
税務会計の最新ニュースも毎週お届け!

 メルマガ登録はこちら 


税務通信を無料で読むなら、税務通信データベースの資料請求がおすすめ。
最新号から約20年分のバックナンバーまでいますぐ無料で読めます!

税務通信データベース
 資料請求(2週間無料 お試しはこちら) 
※お申込み後、すぐに使えるIDをメールでお送りします
※お試し終了後に自動で有料契約に切り替わることはございません

  • PRESSLINKS230921

  • 通信DB インボイス制度関連記事特集

  • 官公庁公表資料リンク集

  • 税務通信テキスト講座

  • 図解でわかる!インボイス制度(11/30まで掲載)

  • 税務通信電子版(アプリ)

  • 経営財務電子版(アプリ)

  • まんが

  • ついった

  • メールマガジン