第195回 租税特別措置の適用除外に要注意 ~平成30年度税制改正により制度化~

■制度の内容
平成30年度税制改正により、企業収益が増大している大規模法人(租税特別措置法上の中小企業者および農業協同組合等以外の法人)のうち賃金引上げや国内設備投資に消極的なものに対して、果断な経営判断を促すためという趣旨により、試験研究費の税額控除制度を始めとする生産性の向上に関する税額控除制度の適用を制限することとされました。
すなわち、大規模法人について、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において、次に掲げる要件のいずれにも該当しない場合には、その大規模法人には、後で説明する3つの租税特別措置を適用しないこととされます(措法42条13第6項)。

租税特別措置の適用除外に係る一定の要件(次の①および②のいずれも満たさないこと)

① その法人の当期の継続雇用者給与等支給額が、継続雇用者比較給与等支給額を超えること
② その法人の国内設備投資額が、当期償却費総額の10%を超えること

なお、継続雇用者給与等支給額、継続雇用者比較給与等支給額、国内設備投資額および当期償却費総額の各用語は、賃上げ等の促進に係る税制(措法42条の12の5)における用語と同様です。

■適用が制限される租税特別措置
上記の①および②のいずれにも該当しない大規模法人が、適用を受けられなくなる一定の租税特別措置は、具体的には次の3つです。

一定の要件を満たさない場合に適用除外とされる租税特別措置

・試験研究費の税額控除制度
・地域未来投資促進税制に係る税額控除制度
・革新的情報産業活用設備を取得した場合の税額控除制度(いわゆるIoT税制)

ただし、その法人の当期の所得金額が前事業年度の所得金額以下であるときは、そのような制限は課されません(措法42条の13第6項)。この場合の所得の金額は、欠損金の繰越控除前の金額とします。

■別表6(29)の添付が必要
試験研究費の税額控除制度を始めとする上記の3つの税額控除制度のいずれかを適用する大規模法人は、確定申告書にその税額控除制度所定の明細書(例えば試験研究費の税額控除制度の場合は、別表6(6))のほかに、別表6(29)「特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書」を添付する必要がある点に留意が必要です。この明細書は、先に説明した租税特別措置の適用除外に係る一定の要件のいずれかを満たすことを明らかにする明細書です。