【M&A】企業合併に伴うデューディリジェンス費用は損金算入してよいか?|税務通信 No.3539

No.3539
(平成31年1月14日号)6頁

税務の動向 質疑応答事例20事例を追加

Q1

 追加された質疑応答事例の中には、「合併に伴うデューディリジェンス費用の取扱い」というものがあります。結論としては、合併にあたり専門家に対して発生したデューディリジェンス費用は損金算入してよい、という理解でよいでしょうか。


A1

 M&Aなどを検討・実行する場合に、デューディリジェンスが行われることが一般的です。デューディリジェンスは、買い手企業が買収先の経営実態や問題点をチェックし、潜在的なリスクやシナジー効果を洗い出すことが目的ですが、その実行時期は大きく2つに分けられます。M&Aや合併などの意思決定前に行うものと、意思決定後に行われるものです。

 意思決定前のデューディリジェンスは、買収先の資産等を取得するため、事業の用に供するためではなく、購入するかどうかの判断材料として行われます。一方、意思決定後のデューディリジェンスは、購入する意図のもとで行われる取得の附随費用と考えることができます。

また、財務調査費用について、同様の整理を行った裁決も存在します。

(有価証券の取得価額/株式を取得する目的で支出した財務調査費) ①株式を取得する目的で支出する財務調査費用は、その株式の取得の意思決定の参考とするために行われたため株式の取得価額に算入され、②側溝改修工事費は、自己が便益を受ける公共的施設の設置又は改良のために支出する費用であるので繰延資産に該当し、③空調設備工事は空調設備自体の価値を高め、耐久性を増す部分はないとして修繕費とされたとした事例(平成19年4月1日~平成20年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し・平22-02-08裁決)
                           

【福裁(法)平21-12】
                    【情報公開法第9条第1項による開示情報】


購入した有価証券の取得価額は、法人税法施行令第119条第1項第1号がその購入の代価にその有価証券の購入のために要した費用の額を加算した金額とする旨規定しているところ、どの有価証券を購入するか特定されていない時点において、いずれの有価証券を購入すべきであるか決定するために行う調査等に係る支出は、この有価証券の購入のために要した費用には当たらないものの、特定の有価証券を購入する意図の下で有価証券の購入に関連して支出される費用は、有価証券の購入のために要した費用として当該有価証券の取得価額に当たるものと解される。

3 本件財務調査費用は、本件財務調査が本件株式の買収についての意思決定の参考とするために行われたものと認められることからすれば、特定の有価証券を購入することを決定した後に当該有価証券の購入に関連して支出される費用に該当することになるから、有価証券の購入に要した費用として、本件株式の取得価額に算入されることとなる。

TAINS F0-2-500


 そこで、今回の国税庁質疑応答事例で示されたのは、「A社を吸収合併することを計画しています。本件合併の実施に当たり、当社は、専門家に対して、A社の事業内容や権利義務関係の把握、企業価値の評価、合併の実行に必要な手続の把握等を内容とするいわゆるデューディリジェンスを委託しました」とあるとおり、合併が計画段階であると考えられます。

 それを受けて、「ご照会のデューディリジェンス費用は、被合併法人の事業内容や権利義務関係の把握などを内容とする業務委託に要する費用であり、本件合併により移転を受ける個々の減価償却資産を事業の用に供するために直接要した費用には該当しないと考えられます」と結論付けています。

 つまり、合併に要するデューディリジェンス費用は損金算入されるということではなく、あくまで、合併等の意思決定前に要するデューディリジェンス費用なのかどうか、で判断する必要があります。

 なお、この意思決定時期は、取締役会等の決議や議事録によって判断することになると考えます。