高額療養費と限度額適用認定証

img_onepoint_0028_01.jpg従業員から「近々、入院して手術することになりました」と言われたら、会社の人事労務担当者としてどんなアドバイスが必要でしょうか?まず、入院する時期と期間、それに手術の内容についてのヒアリングをしたあとで、直属の上司には本人への健康上の配慮をするよう指示することが必要でしょう。健康上の理由ですから従業員の体調を優先させなければなりません。そして忘れてはならないのは...そう、費用に関する制度についての案内です。

1 高額療養費
手術に関する費用は病気やけがの程度、それに手術内容にもよりますが、複雑なものだと自己負担3割でも100万円近くかかることがあります。この他に入院に関する費用も加算されてきます。従業員の中には「できれば会社からお金を貸してほしい」という相談があるかもしれませんが、その前にまず「高額療養費」という制度をお知らせしてあげましょう。 この高額療養費は健康保険組合や協会けんぽ等の保険者に支給申請することにより、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費が、自分の標準報酬に応じて決められた自己負担限度額を超える額については、後日返金される仕組みになっています。申請書の作成や提出は本人の退院後に会社が行うのが一般的ですが、その際に「医療機関の領収書コピー」が必要になりますので、大切に保管しておくように伝えておかなければなりません。 この高額療養費における自己負担限度額が、70歳未満の方については平成27年1月の診療分より改定されており、下記の表のようになっています。

所得区分 自己負担限度額
① 区分ア(標準報酬月額83万円以上の方) 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
② 区分イ(標準報酬月額53万円~79万円の方) 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
③ 区分ウ(標準報酬月額28万円~50万円の方) 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
④ 区分エ(標準報酬月額26万円以下の方) 57,600円
⑤ 区分オ(低所得者【被保険者が市区町村民税の非課税者等】) 35,400円

(注:健康保険組合の中には申請によらず、自動的に高額療養費の扱いとしているところもあります)

img_onepoint_0028_02.jpgまさに救いの神ともいえる高額療養費制度ですが、問題点もあります。それは保険者に支給申請してから実際に支払われるまで3ヶ月以上の期間がかかることです。すぐに支給されるわけではありませんし、まずいったんは自分で立て替えなければなりません。「お金が厳しい...」という方のためにも、さらに便利な「限度額適用認定証」についても教えてあげるといいでしょう。

2 限度額適用認定証
高額療養費は後払いの制度ですが、この「限度額適用認定証」は、あらかじめ病院に提出することによって、最初から「自己負担限度額を超える金額は請求されない」という大変便利な制度です。この認定証は、健康保険組合や協会けんぽ等保険者に「健康保険限度額適用認定申請書」に「健康保険証のコピー」を添えて提出することによって発行されます。有効期間は原則最大1年間もあり、用途は特定の病気やけがに限定されませんので、入院見込みのある方については、早めに準備しておくよう伝えておきましょう(この認定証を最初から使ってもらえば、あとから高額療養費を請求する手間も省けます)。

3 代理申請も可能、送り先も変更可能!
すでに本人が入院して動けない場合などでも、限度額適用認定証は代理申請(ご家族や会社担当者、顧問社労士等による申請)が可能です。また、認定証は自宅以外の場所(入院先の病室宛等)に送ってもらうことも可能です。会社の担当者は本人やご家族に制度を案内しておくとよいでしょう。

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