パートの年次有給休暇の日数と金額

img_onepoint_0076_01.jpg働き方改革の第1弾の労働時間法制に関する施行が目前(平成31年4月1日~)に迫ってきました。そのせいか、最近、クライアントさんからパート従業員に関する年次有給休暇の日数や1日の金額に関する質問が増えてきていますので、今回はその内容について取り上げたいと思います。



何日付与すればよいか
以前に書かせていただきましたが、働き方改革で年次有給休暇が付与される日数が10日以上の場合、付与から1年の期間に5日以上の取得(会社に付与義務)が必要とされ、未達成者1人につき30万円以下の罰金と定められました。この、年に10日以上という条件はパートの方でも一部該当する方が発生します。

(1)通常の従業員の付与日数

継続勤務

0.5年

1.5年

2.5年

3.5年

4.5年

5.5年

6.5年
以上

付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日


(2)週所定労働日数が4日以下、かつ、週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数

週所定
労働日
1年間の
所定労働日数*
継続勤務
0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年
以上
付与
日数
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

*週以外の期間によって労働日数が定められている場合

上記のように(1)に該当する方と、週所定労働日数が3日以上で勤続年数が長い方が、年10日以上付与される方です。ここで問題になるのが、対象のパート従業員の方で「週の労働日数が固定ではない」方の場合です。週の日数が決まっていないと付与する日数自体がわかりません。このような場合は週の所定労働日数の右側の「1年間の所定労働日数」の欄の日数を使用します。付与する時に過去1年間に実際何日勤務したかで、週換算の所定労働日数が判別できます。また、入社して半年時点の場合についての判定は「1年間の所定労働日数の半分の日数を使用する」というように規則に定めて運用すると良いでしょう。

有給休暇の"1日の金額"
img_onepoint_0076_02.jpg月給制の方の場合、年次有給休暇を取得した日については「出勤したことと同じ扱い」になりますので、月給額をそのまま控除しなければ良いだけですが、パートの方の多くは時給制か日給制のことと思います。パート従業員に有給休暇を付与した日に、いくら払えばよいか、ということが気になります。

年次有給休暇1日の金額計算については就業規則で事前に決めておくことが必要となりますが、その計算方法は①通常の賃金(日給または1日の予定時間分)、②平均賃金、③健康保険法に基づく「標準報酬日額」、のいずれかになります。①が一番オーソドックスですが、予定時間分については「本来、勤務したと仮定した場合の1日の時間数」になります。仮定する時間が決まっていない場合は②の平均賃金の方法があります。この平均賃金の方法は原則額と最低保証額があり、原則額は、算定事由が発生した日以前3ヶ月に、その者に対して支払われた賃金総額を、その期間の総日数で除した金額になります(賃金締切日がある場合は、その起算日は直前の賃金締切日)。

(計算例)賃金締切日...当月20日、発生日...6月10日

  5月分(4/21~5/20)基本給200,000円、通勤手当10,000円、

  4月分(3/21~4/20)基本給200,000円、通勤手当10,000円、残業手当20,000円

  3月分(2/21~3/20)基本給200,000円、通勤手当10,000円、残業手当10,000円

 原則の平均賃金=(210,000+230,000+220,000)÷(30日+31日+28日)≒7415.73円

<最低保障>

賃金の一部または全部が日給制、時間給制、出来高給制、の場合は、上記の原則の計算式と平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間に、その者に支払われた賃金総額をその期間の労働日数で除して得た金額の60%が最低保障の金額を比較していずれか高い方の金額になります。

(計算例)賃金締切日...当月20日、発生月...6月10日、時間給1,000円、通勤手当1日400円

  5月分(4/21~5/20【労働日数15日】)時間給合計120,000円、通勤手当6,000円

  4月分(3/21~4/20【労働日数5日】) 時間給合計40,000円、通勤手当2,000円

  3月分(2/21~3/20【労働日数15日】)時間給合計120,000円、通勤手当6,000円

  ①原則計算:(126,000+42,000+126,000)÷(30日+31日+28日)=3303.37円

  ②最低保障:
  (126,000+42,000+126,000)÷(15日+5日+15日)×0.6=5,040円←この額

この平均賃金の算出は過去に基づくものですので①の予定時間よりも公平と言えるかもしれませんが、平均賃金ですので毎月金額が変わるという弱点があります。最後の③の健康保険法に基づく「標準報酬日額」については労使協定が必要であることと、そもそも社会保険加入者でなければ使えませんのであまり実用的ではありません。①から③のいずれにせよ、ルールがなければ混乱することになりますので、あらかじめ就業規則に記載しておき、発生時にはそのルール通りに運用しましょう。