無期転換の特例

 有期労働契約の無期転換に関する特例については以前もご紹介しましたが、この度、改正法の施行が決まりました。そこで、以下、改正法の内容と併せて、無期転換の特例について具体的に紹介します。

 img_jitsumu_0040.jpgまず、研究開発能力強化法による特例(平成26年4月1日施行)で、大学等および研究開発法人の研究者、教員等又は技術者については、無期転換権の発生に要する通算契約期間が5年から10年に延長されています。これは、たとえば研究論文を執筆するのに7年かかるケースなどもあるところ、5年で無期転換が生じては、適性について判断可能となる前に無期契約となってしまう懸念があったこと等によります。

 次に、平成27年4月1日に施行される有期雇用特別措置法では、次の2つの類型について特例が設けられました。

■「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」(プロジェクト)に就く高度専門的知識等を有する有期雇用労働者(第一種特定有期雇用労働者)
→年収要件が1075万円以上に設定されています。要件に該当する有期契約労働者に関しては、無期転換権の発生に要する通算契約期間が5年から当該一定の期間まで延長されることになります。ただし、延長される上限は10年とされています。

■定年後に有期契約で継続雇用される高齢者(第二種特定有期雇用労働者)
→元の会社または特殊関係事業主で継続雇用される者に限るとされています。要件に該当する有期契約労働者に関しては、再雇用の期間が通算されないことになります。

 上記いずれの類型に関しても、適切な雇用管理をしていると行政が認定した場合に限るとされているところ、行政の認定を得る手続きは以下のとおりです。

●特例対象労働者の特性に応じた雇用管理に関する計画作成
         ↓
●作成した計画を本社・本店を管轄する都道府県労働局に提出
         ↓
●都道府県労働局による認定
         ↓
●認定を受けた事業主に雇用される特例対象労働者に無期転換の特例適用(契約締結・更新の際に、特例が適用されていることを明示)

 特性に応じた雇用管理に関しては、次のとおりとされています。

■第一種<高度専門職関係>能力の維持・向上を図る機会の付与
以下のいずれかの雇用管理に関する措置を行うこと。
・教育訓練に係る休暇の付与
・教育訓練に係る時間の確保のための措置
・教育訓練に係る費用の助成
・業務の遂行の過程外における教育訓練の実施
・職業能力検定を受ける機会の確保
・情報の提供、相談の機会の確保等の援助

■第二種<継続雇用の高齢者関係>配置・職務・職場環境に対する配慮

高年齢者雇用確保措置を講じた上で、以下のいずれかの雇用管理に関する
措置を行うこと。
・高年齢者雇用安定法第 11 条の規定による高年齢者雇用推進者の選任
・職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
・作業施設・方法の改善
・健康管理、安全衛生の配慮
・職域の拡大
・知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
・賃金体系の見直し(能力・職務等を重視する賃金制度へ)
・勤務時間制度の弾力化(短時間勤務、フレックスタイム制、隔日勤務等)

 今後企業としては、特例の適用を受けられる労働者がいるか判断した上で、行政の認定を受ける手続きを進めていく必要があるでしょう。行政の認定が必要であることに注意する必要があります。

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