2017/03/27 9:00
記事では、非適格の株式交換が行われた場合には、その株式交換完全子法人の保有資産が時価評価課税される、とあります。そもそも、なぜ株式交換により株式交換完全子法人の資産が時価評価課税されるのでしょうか。
株式交換は、対象の法人である株式交換完全子法人(A社)を、100%子法人化するための手続きです。
具体的には、株式交換完全親法人(B社)に対して、株式交換完全子法人(A社)の株主がその保有する株式交換完全子法人(A社)株式を引き渡します。結果、株式交換完全子法人(A社)は、株式交換完全親法人(B社)の100%子法人となるわけです。
株式交換完全子法人(A社)においては、この取引で株主の変更が生じるだけですから、株式交換完全子法人(A社)において課税関係が生じること自体おかしいのではないか、との意見もあります。
この点に関しては、以下のような理由により、一定の要件を満たさない非適格株式交換の場合に限り、株式交換完全子法人(A社)の保有資産を時価評価しているものと思われます。
1.親法人と100%子法人の合併は、通常は適格合併になることから、その合併段階では100%子法人が保有する資産の含み損益に課税できません。 一方で、100%子法人化は株式交換により容易に実行可能です。 そこで、株式交換段階で、一定の要件を満たさない子法人の保有資産を時価評価することにより、親法人への不正な含み損益の取り込みを防止しています。 2.100%子法人化した段階で、親法人は、株式を通じて間接的に子法人の保有する資産を取得します。つまり、合併による子法人保有資産の取得と同質といえます。合併が直接的な取得、子法人化が間接的な取得です。 そこで、非適格合併の場合、子法人が保有する資産を時価譲渡するのと同様に、株式交換の場合もその含み損益を実現させています。 |
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No.3451 (平成29年3月27日号)9頁