2016/03/28 9:00
低解約返戻金タイプの保険を個人に名義変更した場合の法人側における課税関係はどのようになりますか。
記事にある保険例で検討します。また、支払った保険料の2分の1を損金にできる保険であると仮定します。
役員に保険の名義変更をするまでの期間については、以下の処理になります。
4年目の保険料払込み後、解約返戻金相当額の800万を対価として役員に保険の名義変更をすれば、法人において以下の処理が生じます。
このように、毎年保険料勘定で費用処理した2,000万円と名義変更時に生じる譲渡損1,200万円の合計3,200万円が法人の損金となります。
A1のように、3,200万円も法人において損金を計上することは認められるのでしょうか。
個別の事実関係次第にはなりますが、名義変更時の保険契約の時価は、解約返戻金以外の金額で認定される可能性はあると思われます。
仮に、5年目の保険料1,000万円だけを個人で負担すれば、解約返戻金として4,750万円入金される金融商品があれば、その金融商品は3,750万円(4,750万円-1,000万)に近い金額で取引されてもおかしくないと考えられるためです。あくまで、通常取引される金額が時価であると考えれば、このような指摘を受ける可能性は低くないと思います。
また、当初から解約返戻金4,750万円を役員に与えることを目的としたひとつのスキームと捉えられれば、4,750万円の経済的利益の供与をしたという認定の可能性も排除できないと思われます。
本誌関連ページ
税務の動向 法人から個人へ名義変更した低解約返戻金タイプの保険に注意
No.3402 (平成28年3月28日号)2頁