第136回 所得拡大促進税制の改正に係る留意点 ~平均給与等支給額の算定に係る「継続雇用者」とは~

今月のキーワード ―2014年4月―
公認会計士 太田達也


■平成26年度税制改正による適用要件見直し


平成26年度税制改正により、所得拡大促進税制(措法42条の12の4)の適用要件が改正されます。改正前の適用要件および改正後の適用要件を比較すると、次のとおりです。

改正前の要件

① 当期の「雇用者給与等支給増加額」/「基準雇用者給与等支給額」 ≧ 5%
② 当期の「雇用者給与等支給額」 ≧ 前期の「雇用者給与等支給額」
③ 当期の「平均給与等支給額」 ≧ 前期の「平均給与等支給額」
 (平均給与等支給額の対象給与等 → 日雇い労働者を除く国内雇用者への給与等)


改正後の要件

① 当期の「雇用者給与等支給増加額」/「基準雇用者給与等支給額」 ≧ 2% (注)
② 当期の「雇用者給与等支給額」 ≧ 前期の「雇用者給与等支給額」
③ 当期の「平均給与等支給額」 > 前期の「平均給与等支給額」
 (平均給与等支給額の対象給与等 → 継続雇用者への給与等(適用年度およびその前年度の両方で支給を受けた一般被保険者への給与等)

(注)平成25年度および平成26年度は2%、平成27年度は3%、平成28年度および平成29年度は5%です。


■継続雇用者とは


当期の「平均給与等支給額」が前期の「平均給与等支給額」を超えるかどうかを判定(注)するときの平均給与等支給額の算定における対象給与等が見直されることになりました。

(注)改正前は、「超える」ではなく、「以上」でよいとされていましたが、この点も改正されます。

改正前は、日雇い労働者を除く国内雇用者への給与等の平均での判定でしたが、改正後は、継続雇用者への給与等の平均で判定することになります。

継続雇用者に対する給与等とは、適用年度およびその前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいいますが、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の継続雇用制度に基づき雇用される者に対する給与等を除きます。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の継続雇用制度に基づき雇用される者が、一般被保険者として適用年度およびその前年度において給与等の支給を受けている場合は、その一般被保険者として受けた給与等の支給額はカウントします。ただし、適用年度の途中で継続雇用制度に移行している場合は、継続雇用制度への移行以後の給与等はカウントしません。

■パート、アルバイトの取扱い


雇用保険の法律関係では、事業所に使用され31日以上の雇用の見込があって(注)、週所定労働時間が20時間以上の65歳未満の者については、基本的に一般被保険者として取り扱います。正社員だけでなく、常時雇用されているパートは一般被保険者に該当します。
(注)1年以内の期間を定めている者であっても、更新される見込のある者は含まれます。

なお、日雇労働者および季節労働者(短期雇用特例被保険者)については、それぞれ特別の被保険者制度が設けられていますので、一般被保険者には該当しません。

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