2016/04/01 13:59
今月のキーワード ―2016年4月―
公認会計士 太田達也
■適格請求書の交付義務
現行の「請求書等保存方式」および平成29年4月から4年間に限り採用される「区分記載請求書等保存方式」においては、請求書の交付義務はなく、不正交付の罰則も置かれていませんが、「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」においては適格請求書の交付義務があり、不正交付の罰則も置かれます。
適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合において、当該課税資産の譲渡等を受ける他の事業者(免税事業者を除く)から適格請求書の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を交付しなければならないとされ(消法57条の4第1項本文)、また、その写しを保存しなければなりません(同条6項)。
ただし、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難な課税資産の譲渡等として政令で定めるものを行う場合は、適格請求書の交付義務が免除されます(同項ただし書)。一部は政令に委任されています。
適格請求書の交付義務が免除されるもの
■適格請求書類似書類等の交付禁止
適格請求書または適格簡易請求書に類似するものおよび適格請求書の記載事項に係る電磁的記録に類似するもの(以下、「適格請求書類似書類等」という)の交付および提供は禁止され、①適格請求書類似書類等の交付または提供に関する調査に係る質問検査権の規定の整備、②適格請求書類似書類等を交付または提供した者に対する罰則の規定が設けられます。
■適格返還請求書の交付義務
売上げに係る対価の返還等を行う適格請求書発行事業者は、当該売上げに係る対価の返還等を受ける他の事業者に対して、次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下、「適格返還請求書」という)を交付しなければならないとされます(消法57条の4第3項本文)。
ただし、当該適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、当該売上げに係る対価の返還等に際し適格返還請求書を交付することが困難な課税資産の譲渡等として政令で定めるものを行う場合は、交付しなくてよいとされます(同項ただし書)。
適格返還請求書の記載事項