仕入税額控除|税務通信 READER'S CLUB

No.3403 (平成28年4月4日号)6頁

登録国外事業者が遡及して発行した請求書は仕入れ税額控除の対象外

Q1

 仕入税額控除とはどのような制度ですか。制度の適用を受けるための要件もあわせて教えてください。


A1

 仕入税額控除とは、消費税の納付税額を計算する際に、売上げに対する消費税額から仕入れに対する消費税額を控除することをいいます。仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の事項が記載された帳簿や請求書の保存が要件とされています。

1.消費税のしくみ
 消費税は、製造業者→卸売業者→小売業者→消費者へと商品等が販売される都度、順次その販売価格に上乗せされます(赤枠部分)。これを「転嫁」といいます。転嫁された消費税は、最終的にはそのすべてを消費者が負担するしくみとなっています。
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(出典:国税庁HPを一部加工)


 それぞれの事業者が、転嫁した消費税額(売上げに対する消費税額:赤枠部分)をそのまま税務署に納めると、合計額は17,600円(=4,000+5,600+8,000)となり、消費者が負担する消費税額(8,000円)を超えてしまいます。そこで、各事業者が、売上げに対する消費税額から仕入れに対する消費税額(青枠部分)を控除した金額を税務署に納めることにより、生産や流通などの各段階で、二重、三重に消費税が課されないようになっています。
 この売上に対する消費税額から仕入に対する消費税額を控除することを「仕入税額控除」といいます。これにより各事業者が納める消費税額の合計額8,000円(4,000+1,600+2,400)と、消費者が負担する消費税額8,000円とが一致するしくみとなっています。

2.仕入税額控除の適用を受けるための要件
 仕入税額控除の適用を受けるためには、仕入れに対する消費税額を控除する仕入取引が、消費税が課税される取引(課税仕入取引)であることを証明する必要があります。そこで、仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の事項が記載された帳簿及び請求書の保存が要件とされています。したがって、これらの書類に一定の事項の記載がない取引や、これらの書類の保存がない取引は、仕入税額控除の適用は認められませんので注意が必要です。

        (1)帳簿に関する要件

        仕入税額控除の適用を受けるためには、次の事項を記載した帳簿を保存しなければなりません。

        ① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称

        ② 課税仕入れを行った年月日

        ③ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容

        ④ 課税仕入れに係る支払対価の額


        (2)請求書等に関する要件

        仕入税額控除の適用を受けるためには、次の事項を記載した請求書や領収書等を保存しなければなりません。ただし、支払対価の額が3万円未満である場合や、3万円以上であっても請求書等の交付を受けなかったことについてやむを得ない理由がありその旨を上記(1)の帳簿に記載している場合には、請求書等の保存は不要とされています。

        ① 請求書発行者の氏名または名称

        ② 課税資産の譲渡等を行った年月日

        ③ 課税資産の譲渡等の内容

        ④ 課税資産の譲渡等の対価の額(税込金額)

        ⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称


      今後、区分請求書等保存方式や適格請求書等保存方式(インボイス方式)が導入されると、帳簿や請求書等への記載事項なども変わってきます。実務では、それぞれの保存方式に対応するための準備が必要になります。



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